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クールジャパンを牽引 ポップカルチャー系ベンチャーが世界を魅了する

谷本真一
谷本真一

 クリエイターの収入の確保については、これまでとは異なる形で収益を計上し還元する動きが進んでいます。そのひとつが、公開終了後の原画などをファンに販売し、売り上げの一部を制作会社や版権元に還元するサービスです。また、デジタル化への対応を支援するため、漫画家が権利を持つ漫画作品を電子書籍化し、取次を介して国内最大150の電子ストアへ配信。収益を漫画家に最大で80%還元するとともに、確定申告の代行作業も行うというサービスも登場しています。

 VR空間の同人誌即売会に10万人

 COVID-19への対応としては、誰でも素早く簡単にアニメ制作が行えるようにした、次世代アニメ制作ツールが注目されています。VR(仮想現実)空間上に自由にキャラクターやカメラマンを配置し、それらのアバターの中に入って演技をすることにより、フルリモートでアニメーションを制作するサービスです。

 VR空間上で開催された同人誌即売会では、4日間で国内外から10万人以上が来場しました。リアルイベントとは異なり3密を回避できるのはもちろんのことですが、交通費や待ち時間が発生せず、インターネット環境さえあれば、世界中どこからでも参加でき、真夏のイベントにもかかわらず熱中症も発生しないという画期的なイベントでした。

 他分野との協業という観点からは新たな動きも出ています。集英社は従来の漫画ビジネスにとらわれない斬新な事業アイデアを持つスタートアップとともに、新事業を生み出す共創プログラムを立ち上げています。今回はテクノロジーを活用して業界の発展や課題解決に取り組むスタートアップ5社を紹介します。

 世界のアニメファンにキャラクターグッズ

 Tokyo Otaku Mode(東京都千代田区)は日本中のキャラクターグッズを世界に届ける越境eコマース事業を展開しており、グッズ流通のほか、世界中のアニメファンに向けてメディアの最新情報を発信したり、グッズのプロデュースを手掛けたりしています。この事業から切り分ける形で今年から始めたのが、「セカイロジ」事業です。これまでに培った国際配送ノウハウに基づき、130以上の国への配送が可能です。

 0.1秒で有名画家の絵柄に

 ラディウス・ファイブ(東京都新宿区)は4K・8Kテレビの普及によって高解像度のコンテンツが求められることに対応、AI技術を活用したソリューションを提供しています。動画についてはアニメだけでなく実写映像やゲームなど幅広い領域、高解像度化が可能。静止画向けサービスでは、写真をピカソやゴッホなど有名画家の画風に変換できるほか、0.1秒でキャラクターを生成できる機能も取り入れています。

 イラストを特典付きのデジタルアートに

 イラストや中間制作物の多くは、一度商品化された時点で眠ってしまい遊休資産となっています。Anique(アニーク、東京都渋谷区)はこうした状況を「もったいない」と考え、制作物を特典付きのデジタルアートでファンに提供する仕組みを実現しました。また、COVID-19対策の一環として、オンライン上でアート作品を鑑賞できる展示会を開催し、入場料による新たなマネタイズを図っていきます。

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