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不適切発言繰り返し…川勝知事は猛省も続投表明「県政任せられぬ」「潔く辞職を」

 「知事はかねてから不適切な発言を繰り返し、そのたびに謝罪・撤回に追い込まれている。心の底から謝罪しているとは受け取れない」。静岡県議会最大会派、自民改革会議の野崎正蔵代表は24日、臨時議会に提出した川勝平太知事辞職勧告決議案の提案理由説明で、今回に限らず何度も舌禍が飛び出した過去を強調。「知事としての適格性を欠く川勝氏に(任期)残り3年半の県政を任せられない」と主張した。

 1人ずつ投票で行った採決の結果、賛成が自民(議長を除き39人)、公明(5人)と無所属3人の47、反対がふじのくに県民クラブ(17人)と無所属2人(共産党含む)の19となり、出席議員66人の過半数(34人以上)を超え可決された。

 野崎氏は可決後、記者団に「圧倒的な議員の支持が得られた」と胸を張った。だが、ふじのくに側の切り崩しが必須という高いハードルが初めから明らかでありながら提出方針を明言し、結局「4分の3」の賛成獲得のメドが立たずに提出自体を断念した不信任決議に比べれば、後退した形になったことは否めない。

 関係者によれば、自民側は23日に方針転換する直前まで、不信任案提出の可能性を探っていた。川勝知事に近いふじのくにに所属するある県議は「かなり気持ちが揺らぐような話があったことは事実」と打ち明けており、激しい説得工作をうかがわせる。だが造反を引き出すには至らない中、否決となれば「逆に知事に『信任された』と開き直られる」との意見に押され、断念したとみられる。

 各会派、微妙な距離感

 これまでは是々非々の立場だった公明も、今回ばかりは明確に川勝知事を批判した。蓮池章平団長は賛成討論で「県政運営に最も必要な危機管理能力の欠如、県民への侮蔑的発言を許すことはできない。潔く辞職することを求める」と明言。記者会見では「一連の言動を見るにつけ、本人は何が根本的な問題なのか分かっていないのではないかと思う」と厳しい言葉を投げかけた。自民の方針急転で不信任決議でなくなり辞職に追い込めなかったことには「大変残念」と述べた。22日時点では「会派内はまとまっている」として、自民側の動きを見極めていた。

 一方、多数派工作を受けても結束して反対できたふじのくに。佐野愛子会長は反対討論では「心からの謝罪があった」ことで辞職勧告には至らないと擁護した一方で、記者会見では「引き続き知事を支援するがこれまで以上にしっかりと意見や提言をしたい」と、近い立場として諫める姿勢に転換すると強調。一連の発言が飛び出した応援演説に関しても「知事に政務をお願いするにあたり、内容の確認がたりなかった」と反省を口にしてみせた。

 知事「深刻に受け止め」報酬返上も

 辞職勧告を突きつけられた川勝知事は報道陣に囲まれ、「極めて深刻に受け止めている。年末にかけて猛省し、来年には生まれ変わったような人間になるよう、富士山に誓った」と神妙な表情で話し、「新型コロナウイルスの第6波が来るかもしれない。県民から負託された期間は全力で職責を全うする」として辞職は否定。ただ「自らにペナルティー」として、年末手当(冬のボーナス、約315万円)と12月分の報酬(約130万円)を返上する意向を示した。

 議会側は「議長と県議会にしかるべき方法で正式に態度表明してほしい」と申し入れており、29日開会の12月定例会で改めて謝罪して続投を表明する見込みだ。

 “コシヒカリ政局”は自民、川勝知事の双方に傷を残した形となった。ただ川勝知事は積み重なった舌禍で、県政史上初の辞職勧告という不名誉な記録を残した。是々非々だった公明も「今まで通りの対応ができるかどうかは分からない」(幹部)と突き放しており、距離感が変わる可能性がある。新型コロナ対策など重要案件が山積する新年度予算編成を控え、今後の県政運営にどう影響するか注目される。

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