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ゼロゼロ融資で膨らむ債務 資金ショートにくすぶる倒産懸念

 新型コロナウイルスの打撃を受けた企業に実質無利子・無担保融資で融資する「ゼロゼロ融資」は、コロナ禍の企業の資金繰りを支え、足元の企業倒産件数は低水準で推移している。政府は19日に閣議決定した経済対策で政府系金融機関への申請期限を来年3月末まで延長することを盛り込んだ。ただ、これまで融資を受けた企業の多くが中小企業。コロナ影響の長期化で業績回復が進まなければ、資金繰りがショートする懸念が指摘されている。(岡本祐大、黒川信雄)

 中小の製造業が多く集まる大阪府東大阪市。ゴム製造会社の幹部は「地域の製造業はゼロゼロ融資を借りられるだけ借りていた。事業環境が改善しないと返済は困難」と語る。原油価格高騰で原材料調達がままならず、「受注があっても製品を作れない」と市場環境回復の遅れに頭を抱える。

 飲食業界からも「コロナ前から苦しかった店が、ゼロゼロ融資でさらに借金が膨らんだケースが多いと聞く」(大阪・ミナミの飲食店)と懸念の声が上がる。

 最初の3年間の利子分が補填(ほてん)されるゼロゼロ融資は、昨年3月に政府系金融機関で始まった。申し込みが殺到し、同5月から今年3月までは民間金融機関でも実施された。経済産業省によると、これまでに約40兆円が実行されたという。

 東京商工リサーチの調査によると、令和3年3月期決算で借入金が前期に比べて増加した企業は42・2%。資本金1億円未満の中小企業は45・4%が増えており、同社関西支社情報部の新田義彦課長は「厳しい資金繰りの状況をゼロゼロ融資でしのいだ」とみる。

 今年4~9月の全国の企業倒産件数(負債額1千万円以上)は2937件。上半期に3千件を下回ったのは55年ぶりの低水準で、政府支援策が企業存続につながったといえる。

 ただ、持続化給付金や雇用調整助成金などと違い、借金であるため返済義務がある。ゼロゼロ融資に頼る企業には「普段なら融資をためらうような中小企業」(地銀関係者)も少なくなく、政府の号令下、ほとんど審査なく融資手続きが進んだことに「モラルハザードが起きかねない」(地銀幹部)という懸念も広がっていた。

 中小企業支援を手がける大阪商工会議所の担当者も「十以上の金融機関から借金していたり、年商を超えるほど借りていたりする企業もある」と明かす。東京商工リサーチの新田氏は「ゼロゼロ融資返済に苦しむ企業への追加融資は、金融機関も慎重になる。過剰債務になれば、資金が底をつく今年度末以降、経営が行き詰まる恐れがある」と指摘。19日に決定した経済対策で最大250万円の給付も盛り込まれたが、「抜本的な救済策に至らない」としている。

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