海外情勢

WTO事務局長選、米国だけが韓国候補の支持表明 新トップ選出長引く恐れも

 【ロンドン=板東和正】世界貿易機関(WTO・本部ジュネーブ)は28日、非公式加盟国代表会合を開催し、2人の女性候補が争う事務局長選について協議した。欧州連合(EU)などの大半の加盟国がナイジェリアのオコンジョイウェアラ元財務相(66)を推薦する一方、米国だけが対抗候補の兪明希(ユミョンヒ)・韓国産業通商資源省通商交渉本部長(53)への支持を表明。WTOは11月上旬までに新トップを選出したい考えだが、協議は長引く恐れがある。

 事務局長選は、8月末に退任したアゼベド前事務局長の後任を選ぶ。

 WTOは9月7日、事務局長の選出手続きを開始し、オコンジョイウェアラ氏と兪氏の女性候補2人が「最終選考」に残った。WTOは11月9日の一般理事会で次期事務局長の正式承認を目指している。

 ただ、選出作業は原則、投票という形はとらず、加盟国の全会一致が慣例。米国だけがオコンジョイウェアラ氏の推薦に異議を唱えたことで、9日の正式承認が危ぶまれている。

 英メディアなどによると、EU27カ国がオコンジョイウェアラ氏を支持する方針を決めた。アフリカへの投資を拡大する中国も同氏を推しているとみられている。貿易問題の専門家は「米国は中国がWTOで発言力を強めることを警戒し、同氏の就任を避けたいと考えている可能性が高い」と分析する。

 WTOをめぐっては、中国がルール面で優遇される新興国として扱われているとして米国が改革を要求。このことで、米国が中国が強く推す候補を拒否すると予想されていた。

 オコンジョイウェアラ氏はナイジェリアで経済改革を主導し、世界銀行でも専務理事を務めた。同氏が選出されれば、歴代初のアフリカ出身の事務局長となる。

 兪氏は昨年7月に日本による輸出管理厳格化措置が発動されて以来、対応に関与しており、「WTOなどの国際規範に合致しない」と日本を批判し、措置撤回を要求していた。

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