マスクなし、すし詰め…認識甘かったトランプ氏 Wハウス式典で感染の可能性
【ワシントン=黒瀬悦成】トランプ米大統領が新型コロナウイルスに感染し入院した問題に関し、9月26日にホワイトハウスで開かれた最高裁判事の指名式典の出席者のうちトランプ氏を含む少なくとも7人がその後、新型コロナに感染していたことが3日までに判明した。式典がトランプ氏の感染と出席者の集団感染の原因となった可能性があり、ホワイトハウスが感染経路の解明を急いでいる。
トランプ氏がエイミー・バレット連邦控訴裁判事を最高裁判事に指名する式典はホワイトハウスの中庭であるローズガーデンで開かれ、数百人が出席した。
このうち、壇上で演説したトランプ氏と、前方の数列に座っていたメラニア夫人とコンウェイ前大統領上級顧問、クリスティー前ニュージャージー州知事、リー、ティリス両上院議員、バレット氏の恩師であるノートルダム大のジェンキンス学長の感染が後になって確認された。
ホワイトハウスは出席者全員に事前にウイルス検査を実施し、陰性だったとしているが、式典ではほとんどの出席者がマスクを着けずにすし詰めで座り、ソーシャルディスタンス(社会的距離)も守られていなかった。
トランプ氏はまた、9月29日夜にオハイオ州クリーブランドで行われた1回目の大統領候補者討論会に備え、26~29日にホワイトハウスの一室で側近らと予行演習を行った。部屋にはクリスティー氏とコンウェイ氏がいた。
トランプ氏は式典以降、メラニア夫人、ヒックス大統領顧問、予行演習に参加したトランプ陣営のステピエン選対本部長らと大統領専用機に同乗してペンシルベニア(26日)、ミネソタ(30日)、ニュージャージー(10月1日)各州での選挙集会に出席した。ステピエン氏とヒックス氏も感染が判明した。
このほか、ホワイトハウス詰めの米記者3人の感染も確認されている。
現時点で感染経路は断定されていないものの、トランプ政権の新型コロナへの認識が甘かったとの批判は避けられそうにない。
一方、大統領選の民主党候補、バイデン前副大統領はこうした問題への批判を自制し、ネット上で展開していたトランプ氏に対する中傷広告を全て引き揚げた。国家の危機に関わるトランプ氏の感染を攻撃材料にして、逆に批判されるのを避けたとみられる。