海外情勢
欧州、バカンス観光地の「緩み」に警戒 各国がマスク義務化
【パリ=三井美奈】欧州連合(EU)で、新型コロナウイルスによる都市封鎖の解除後、各地でバカンス観光客の「緩み」が問題化している。集団感染も相次いで発覚し、各国政府は第2波阻止に向け、マスク着用義務化などの対策に動き出した。
スペインのマジョルカ島では今週、観光客の集うバーが閉鎖された。当局が「公道や建物内ではマスク着用を義務付ける」と発表。警察の巡回も始まった。ドイツ人観光客が感染対策を無視して連夜、密集してのパーティーで大騒ぎすることに、「感染悪化を招く」と地元で不安が高まったためだ。
島は人口90万人に対し、年間約900万人が訪れる観光地。このうちドイツ人は300万人を占める。EU域内の国境開放に伴って6月半ば、ドイツから団体ツアー客が到着したとき、観光業者は拍手で迎えたが、反応は様変わりした。
ドイツのマース外相は、「欧州は国境をようやく開けられるようになった。一部の無責任な行動で台無しにしてはいけない」と観光客を批判。新たな移動制限も辞さないと警告した。
フランスでは先週末、南仏の保養地ニースの海岸で、野外コンサートに約5千人が結集した。マスクなしで集団で踊ったり、抱擁したりする様子が動画で伝わると、市長は「無責任な行動を放置しては、安全は守れない」と憤慨。市内のイベント集客は2500人を上限にすると表明した。感染対策で国が決めた基準の半分だ。