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GDP、勝負は7~9月期 年2.2%減に上方修正も態勢立て直しへ予断許さず

 1~3月期の国内総生産(GDP)改定値は上方修正されたが、要因となった設備投資の上振れは新型コロナウイルスの影響を十分反映できておらず、成長率は将来的に下方修正される可能性がある。4~6月期の景気が未曽有の落ち込みになるのも避けられない状況だ。感染抑制で経済活動が7割程度に落ち込むとされる中、深いマイナス成長からの脱却を目指す7~9月期に向け、態勢を立て直せるかが勝負どころになる。

 西村康稔経済再生担当相は8日の記者会見で「法人企業統計の速報は感染症の影響もあって通常より回収率が低いことがあり、予断は許さない」と指摘した。

 設備投資の上振れは1~3月期の法人企業統計(速報値)を反映したが、コロナの影響で調査票の回答率は6割程度にとどまった。財務省は7月末をめどに公表する確報値で、より実態を反映する。政府は確報値が出次第GDPに織り込む方向で、1~3月期の成長率は下振れする恐れがある。

 緊急事態宣言が発令された4~6月期の実質成長率はさらに落ち込み、リーマン・ショック後の2009年1~3月期(前期比年率17.8%減)を下回って戦後最悪の水準になる見込み。

 問題はその後だ。景気の谷底から抜け出せるかは、感染抑制と経済活動の再開を両立できるかにかかる。個人消費は4、5月で底打ちする見込みだが、海外で相次いだ都市封鎖の影響で外需は低迷し、輸出の回復は遅れそうだ。BNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミストの試算では、経済再開後も世界的に自動車の購入や設備投資が控えられる(標準シナリオ)。

 また、宣言解除後も感染が増減を繰り返し、企業や家計の自粛モードが長期化して内需が低迷する場合(シナリオ2)は、7~9月期の実質成長率が1.4%と伸び悩む。感染が再拡大し、10月に宣言が再発令された場合(シナリオ3)は、10~12月期が11.8%減と再びマイナス成長に沈む見通し。

 宣言の再発令さえなければ夏場にかけ景気の底入れが鮮明になるとみられ、回復のスピード感が問われそうだ。ただ感染拡大を警戒し、自由な経済活動ができない現状では、消費や人出が平時の7割程度にとどまるとの指摘もある。政府は7月にまとめる経済財政運営の指針「骨太の方針」で、需要減に負けないコロナ後の経済再生に向けた羅針盤を示す必要に迫られている。(田辺裕晶)

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