暴動「アンティーファが扇動した証拠ある」 米司法長官発表、外国勢力の介入も
【ワシントン=黒瀬悦成】バー司法長官は4日、司法省で記者会見し、白人警官による黒人暴行死事件を受けた抗議デモが全米各地で暴動に発展した問題で、極左勢力「アンティーファ(ANTIFA)や同様の過激派集団が暴力行為を扇動し、実行した証拠がある」と発表した。
バー氏はまた、「外国勢力が暴力行為を増幅させる目的で(抗議デモと治安当局の)双方をあおり立てている」と指摘した。
トランプ大統領は1日、「アンティーファが暴力行為を主導している」と非難していたが、米政権高官が同勢力の関与を示す証拠の存在について明言したのは初めて。バー氏は証拠の具体的内容は明かさず、外国勢力の具体的な国名にも言及しなかった。
バー氏は「アンティーファなどの過激派の扇動者がデモを乗っ取った」とし、過激勢力の行動は「市民らを恐怖に陥れ、社会を脅かすことを企図した犯罪行為だ」と非難した。
バー氏によると、連邦当局は4日までに暴力行為と暴動に関与した51人を逮捕した。一連の暴動では警官ら114人が負傷、22人が入院したとしている。
バー氏はまた、「デモの(支持派と反対派など)あらゆる側に外国勢力が介入している」と警告した。また、「特定の勢力が敵対勢力に成りすます偽情報工作も横行している」とも語り、国内外でさまざまな情報撹乱(かくらん)工作を展開されているとの認識を示した。
同時に、アンティーファなどアナキズム(無政府主義)を奉じる極左勢力に加え、「異なる政治信条の多様な勢力」が暴力行為に関与していると指摘した。
司法省は3日、西部ネバダ州ラスベガスでデモの暴徒化を画策したとして、米国で内戦を引き起こすことを目指す極右運動「ブーガルー」に連なる3人を逮捕したと発表した。
バー氏は一方で、「連邦政府機関による法執行は暴力的な扇動勢力の取り締まりに集中している」と述べ、平和的なデモを取り締まる意図はないと言明。記者会見に同席した連邦捜査局(FBI)のレイ長官も「平和的なデモは健全な民主主義の証だ」として支持する意向を強調した。