国内
ウイルスとは共存する相手 最善の備えが次の不適応にも
--また新たなウイルスによるパンデミックが起きないとは限りません。私たちはそれに備えた社会づくりをすべきなのでしょうか
「それはすごく難しい質問です。今回の新型コロナを想定して最適の予防を講じた社会をつくったとしても、ウイルスが少し違うと対応できなくなる。最善は次の不適応を用意してしまう。社会のあり方が変われば、異なるウイルスを選び取ってしまうのですから。心地よくはないが、次善のなかで適応を模索するしかないのだと思います」
【プロフィル】やまもと・たろう 長崎大熱帯医学研究所教授。昭和39年3月、広島県生まれ。長崎大医学部卒。京都大医学研究科助教授、外務省国際協力局課長補佐などを経て現職。医師、医学博士。専門は国際保健学、熱帯感染症学。アフリカ各国や中米ハイチで感染症対策に従事。著書に「感染症と文明」(岩波新書)など。
【ニュースを疑え】「教科書を信じない」「自分の頭で考える」。ノーベル賞受賞者はそう語ります。ではニュースから真実を見極めるにはどうすればいいか。「疑い」をキーワードに各界の論客に時事問題を独自の視点で斬ってもらい、考えるヒントを探る企画です。