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経済損失は累計45兆円の試算も 緊急事態宣言「5月31日まで延長」決定    

 安倍晋三首相は4日、新型コロナウイルスの感染拡大に対応する改正特別措置法(新型コロナ特措法)に基づく政府対策本部会合で、緊急事態宣言に関し、全都道府県を対象としたまま5月31日まで延長すると表明した。全国で報告される感染者数の伸びには鈍化の傾向がみられるが、医療現場が厳しい状況に置かれていることなどを踏まえ、6日の期限に解除するのは困難と判断した。経済活動の停滞は避けられず、大型連休後も国民生活の制約が続く異例の事態となる。

 政府の専門家会議は1日、新規感染者数は減少傾向にあるものの、再び感染が拡大した場合、医療提供体制にさらなる負荷がかかる恐れがあるとして、現状の枠組みの維持が望ましいとの提言を発表した。

 全国知事会も一部の地域だけを解除すると、そこへの人の移動が生じかねないとして全国一律で延長するよう国に要請。政府はこうした意見を重視し、これまで通り、全国を対象とした形で延長することにした。

 延長幅については6月6日ごろまで延長する案もあったが「数字の切りがいいかどうかも重要」(政府高官)として5月末を区切りとした。

 緊急事態宣言の期間延長は、新型コロナウイルスの感染拡大で体力を奪われていた企業の経営環境を一段と悪化させそうだ。事業の縮小・休業で収益が入らない一方、人件費などの固定費が出続けるためだ。延長による経済損失は45兆円ともされ、経営破綻や雇用調整が広がれば、日本経済全体へのダメージは一段の深刻化が避けられない。

 増え続ける破綻

 「春休み、ゴールデンウイークと、1年のうちで一番単価の高い書き入れ時を2回も逸した。ただの数カ月を失ったわけではない」。外出自粛要請が全国で続く中、あるホテル経営関係者が窮状を訴える。

 東京商工リサーチによると、新型コロナ関連の破綻は1日夕時点で114件。訪日客も国内旅行者も消えた宿泊業は26件と突出する。4月30日には大型連休期間にもかかわらず、ロイヤルオークリゾート(大津市)、秋芳観光ホテル秋芳館(山口県美祢市)の2事業者の破綻が発覚した。

 現在、企業にとって喫緊の課題は資金繰りだ。

 日本商工会議所が4月、「感染拡大の経営への影響がすでに出ている」という中小企業に資金繰りについて尋ねた(複数回答)ところ、「不安はあるが相談していない」と「金融機関への相談を行った」がそれぞれ4割弱。雇用関係では、「雇用調整助成金の検討・申し込み」「従業員の休業実施」「採用・派遣労働者の人数を縮小・見送る」も2~4割を占めた。

 雇用も守ろうと懸命だ。ラーメン店「幸楽苑」を展開する幸楽苑ホールディングスは1日、役員の報酬や社員の給与を3カ月間減額すると発表。全従業員の今夏の賞与支給も取りやめる。同社は「売り上げが大幅に減少している。休業や営業時間を短縮している店舗もあり、労働組合と協議の上で決定した」と説明している。

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