自民党若手、WHO事務局長解任や拠出金見直し主張「感染を広げた」
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長への批判が高まっている。ウイルス発生源である中国寄りの発言が目立つためだ。トランプ米大統領がWHOに任意で払う拠出金の停止を表明したが、自民党内にも、事務局長解任を含めWHO改革を求める声がある。
安倍晋三首相は17日の記者会見で、WHOについて「日本の分担金を削る、出さないということは全く考えていない。今はWHOを支えていかなければならない」と述べた。その一方で「問題点、課題もあるのも事実だ。事態が収束した後に検証していくべきだ」と述べた。
WHOは1月末、新型コロナに関し「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言したが、テドロス氏は「不必要な渡航・貿易制限を行う理由はない」と述べ、「中国政府は感染拡大阻止に並外れた措置を取った」と中国賛辞を繰り返した。感染の抑え込みに比較的成功しているとされる台湾がWHOに加盟できていない背景にも中国への配慮があるとの指摘がある。
首相は「政治的に中立ではないのではないか、という意見もある」と言葉を選んだが、自民党の山田賢司元外務政務官は産経新聞のテレビ電話による取材でこう語った。
「早くから人から人への感染が指摘されてきた。テドロス氏は危険性を世界に呼び掛けなければならないのに、中国をかばうかのような発言をして結果的に広げてしまった。政治を持ち込むのではなく、科学的・医学的な見地から対応を判断すべきだ。発言は不適切であり、解任に値すると思う」
テドロス氏の出身地であるエチオピアも中国が巨額投資していることで知られているが、WHOに対する国内総生産(GDP)に応じた「分担金」と任意の「拠出金」の合計は、米国が1位で日本が4位、中国は9位だ。任意の「拠出金」が比較的少ない中国が大きな影響力を行使していることになり、トランプ氏は「米国民に対して不公平だ」などと批判している。
菅義偉官房長官は15日の記者会見で「国際機関への拠出については、外交政策上の重要性や各機関の活動状況を踏まえながら判断をしている。適切で効果的な拠出のあり方について、不断に検討を行っていきたい」と述べるにとどめた。(沢田大典)