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IR選定にらみ“大阪の陣” 商機探る関西企業「参入は死活問題」

 カジノを含む統合型リゾート施設(IR)の候補地となっている大阪で、関西企業が新たな商機をうかがっている。誘致が決まれば国際会議場やホテル、レストランが林立し、多様な産業に参入のチャンスが訪れるためだ。一方、既に深刻化している人手不足に拍車が掛かると懸念する声も出ている。

 「私たちは期限通り新鮮な食材を届けてもらえるかどうかを見極めます」「(損害賠償などに備えた)保険に入ってもらうことも重要です」-。

 11月の大阪市内。米カジノ大手MGMリゾーツ・インターナショナルの調達責任者が熱心に説明していた。関西企業の出席者約50人は真剣な表情で聞き入り、メモを取る。カジノ事業者が調達先に求めることを学ぶセミナーの一幕だ。

 大阪にIRができることも、MGMが選ばれることもまだ決まっていないが、ある出席者は「われわれにもチャンスがありそうだ」と目をぎらつかせた。セミナーを主催したのは、りそなグループの銀行団。取引先がIRに参入して業績を伸ばし、資金需要が生じることを期待している。

 大阪府と大阪市は人工島・夢洲への誘致を目指すIRで大規模な国際会議や展示会が開けるMICE(マイス)機能を重視。客室が3000室以上あるホテルを整備する構想だ。従業員食堂や制服の供給、クリーニングだけでも一大ビジネスとなる。現金輸送に強みを持つ地元の警備会社幹部は「IRに参加するかどうかが業績を左右する」と話し、参入を死活問題と位置付ける。

 ただIR参入を公言しにくい雰囲気もあり、企業の動きの全体像はまだ見えにくい。MGMは資金集めでフランス企業とオリックスが同額を出し、残りを関西企業から集めた「関西エアポート方式」を踏襲したい考えだ。これに対してある企業の首脳は「インフラである空港とIRは別」と距離を置く。銀行幹部も「反対論があるカジノへ表だって協力することに難色を示す企業もある」と打ち明ける。

 大阪府市の試算によると、近畿圏のIR関連の雇用創出効果は8万人以上。MGMは1万5000人以上の雇用を明言する。産学でつくるIR産業推進機構はIRに賛成の立場から「サービス産業で人材争奪戦が起こる可能性が高い」と指摘する。地元のホテル幹部は「ホテルの清掃スタッフは今でも確保が難しい。IRが来たら人手不足はより深刻になるのでは」と不安そうに話した。

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