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令和元年度の一円玉 前回消費税8%引き上げ時の160分の1以下に

 令和元年度の一円玉の製造計画が、消費税増税年度としては極めて少ない、100万枚以下にとどまることが22日、分かった。消費税が導入された平成元年度は、釣り銭需要の拡大から小売業者や金融機関の間で深刻な一円玉不足となり、財務省は28・2億枚を製造。5%に増税した9年度で6・7億枚、8%に増税した26年度には1・6億枚を製造した。キャッシュレス決済の台頭で釣り銭需要が減っていることが原因とみられる。

 財務省は今年度の一円玉の製造計画を100万枚としている。消費税増税後の需要を見極め必要なら追加製造するが、担当者は「現在のところ追加する予定はない」としている。ここ数年の計画は100万枚で推移しているが、実際は50万枚程度の製造に収まっている。今年度も同様で、増税の影響はほぼないとの見通しだ。

 財務省は「貨幣の円滑な供給を守る」観点で製造量を決めている。ただ、昨年度の一円玉の製造枚数は約49万枚で、その全てが、造幣局がその年に製造した未使用貨幣をケースに収納して販売する「貨幣セット」向けだった。

 一円玉は流通量も減っている。日本銀行によると、14年の410億枚をピークに、現在では375億枚まで減少。需要の減った一円玉はアルミニウムの塊として売却され、昨年度は約150トン、一円玉にして1億5千万枚分が財務省から民間事業者に売り払われた。

 消費税増税に合わせた政府のキャッシュレス決済に対するポイント還元制度も、一円玉需要を下押ししている。コンビニエンスストア大手のローソンでは増税後の10月初旬、キャッシュレス比率が昨年と比べ約8割増加した。従来はほとんどが現金決済だった東京都台東区のせんべい店も「10月以降は1割程度がキャッシュレス決済になった」という。

 ニッセイ基礎研究所の福本勇樹主任研究員は今後、キャッシュレス化が進み、一円玉の活躍機会は「ますます減っていく」とみる。一円玉はかさばるのでお釣りをそのままレジ横の募金箱に入れる人も多いため、「総量が減れば、募金額が減る懸念もある」と、副作用も指摘する。(林修太郎)

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