海外情勢
南アジア農村 太陽光利用で電化の波 中国から安価のパネル流通
アフガニスタンやパキスタンの電気が通っていない農村で、安価になったソーラーパネルを利用した住民らによる中小規模の電化の動きが進んでいる。家庭用や農業用として、日照に恵まれた両国の生活向上につながる一方で、アフガンでは武装勢力の資金源のケシ栽培に利用される実態も明らかになってきた。
電気は自分でつくる
パキスタン中部パンジャブ州アトック地区の農家、ザーヒド・マムートさんは約2年前、家庭用に中国製太陽光パネル2枚と蓄電池、約2万パキスタンルピー(約1万4500円)を奮発した。
自宅のある集落は荒野の一角で、送電線は数十キロ離れた町までしか届かない。ホウレンソウなどの栽培で得る月収の数カ月分に当たる金額だったが、完全な暗闇は終わり、今は日没まで畑で仕事をして、夜間は電球を頼りに、食事や子供の勉強ができるようになった。
携帯電話を充電するため、同じ集落の人も謝礼を払い電気をもらいに来る。同様にパネルを購入する人も相次ぐ。「何十年も電気の普及を要望したが政府は動かなかった。電気は自分でつくるしかない」と話すマムートさんの表情は明るい。
インフラ整備が遅れ電力不足にあえぐパキスタンやアフガンだが、雨が少なく日照に恵まれ太陽光発電に好条件がそろう。隣国の中国から安価な簡易型ソーラーパネルが出回るようにもなった。
アフガン南部ヘルマンド州のケシ畑が広がる一角に、数十枚のソーラーパネルが並ぶ。反政府武装勢力タリバンの支配地区で、送電網や水道は未整備。ケシ農家のアブドゥル・ラフマンさんは「畑に地下水をくみ上げる際、以前は軽油を利用していたが、太陽光発電を使うようになり、ずっとコストが下がった」という。