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「積極財政で経済成長を」 現代貨幣理論、国会でも話題に

 財政赤字を恐れず、雇用対策などへの歳出拡大により経済成長を図るべきだとする現代貨幣理論(MMT)に注目が集まっている。「財政赤字は悪」とする主流派からは“異端”視されているが、米国では民主党左派の理論的支柱とされ、日本の国会でも取り上げられ、話題になり始めた。

 「天動説から地動説に転換することが一番大事だ」

 4月4日の参院決算委員会で自民党の西田昌司氏はこう述べ、積極的な財政出動を訴えた。

 西田氏は債務残高が増えれば財政はいずれ破綻すると財務省が20年間も説明してきたのに、金利も物価も上がっていないと分析。「現実が理屈と合わないのなら、理屈が間違っているということに気が付かなければならない」と批判した。

現代貨幣理論に日米金融トップは否定的

 政府を含め主流派の考え方は財政は均衡すべきで、赤字は持続できないというものだ。これに対しMMTでは国家は通貨を発行できるため、赤字を続けても破綻しないと考える。極端に単純化すると、お金を印刷すればいくらでも借金は返済できるからだ。

 ただ、野放図に財政を拡大するとインフレが加速する可能性があり、経済が過熱したら増税や歳出削減で沈静化する。インフレが制御できる限りは、財政赤字や債務残高の大きさ自体は問題にしない。

 財政を打ち出の小づちにできるという怪しげな考え方のようにも思えるが、財政学が専門の岡本英男・東京経済大学長によると、ケインズの弟子で米国で活躍した経済学者、ラーナーや、1996年にノーベル経済学賞を受賞したビクリーらの理論を源流としており「学問的な裏付けはしっかりしている」。

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