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移動給油所の災害派遣可能に 経産省が近く安全指針、被災地燃料不足に対応

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 余震を警戒して車中泊を続ける被災者もおり、冬場は暖を取るための灯油需要も高まる。ガソリンなどの燃料は水や食料に並ぶ重要な物資となるが、救助や復旧活動に大量の燃料が必要なため一般向けは不足しがちになる。地元の給油所が停電して機能しなくなったり、製油所の安全確認に時間がかかったりしたことから、東日本大震災や熊本地震、北海道地震では燃料を求める車の渋滞が問題となった。

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 実務的な内容も提示

 移動給油所は兵庫県姫路市で導入例がある。これまでも災害時に限って認められていたが、政府の統一見解がなかったこともあり、地元消防の許可を得るのが困難で導入が進んでいなかった。このため消防庁は安全性を担保できれば運営を認めることにした。

 経産省の指針は、安全に関する政府の考え方を分かりやすく示す狙いがある。燃料の流出を防ぐマット敷設や、周囲の建築物から一定の距離を保つといった安全確保策に加え、移動給油所の操作方法や現場の態勢の組み方など実務的な内容を盛り込む。

【用語解説】移動給油所

 タンクローリーを専用の給油機につなぎ、ガソリンや灯油などを供給する仕組み。経済産業省が支援し、兵庫県姫路市の企業が開発した。専用の給油機は30分程度で設置可能で、複数の地域を巡回できるのが強み。建設費が数千万円とされる一般の給油所と違い、地下タンクや建屋を省くことができるため、整備費を大幅に下げられる。設備を扱うには通常の給油所と同様に危険物の資格が必要だ。

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