連結納税制度の見直し議論 事務負担の軽減求める 政府税調
更新政府税制調査会は23日開いた総会で、親会社や子会社で構成する企業グループを1つの企業とみなして法人税を課税する「連結納税制度」の見直しについて議論を始めた。制度を使えばグループ内の利益から損失を差し引いて課税所得を圧縮できるメリットがあるが、経理や申告方法を企業グループ全体で統一しなければならないなど事務負担が重い。
<< 下に続く >>
税調は負担を軽くして利用を促したい考えで、少人数の専門家会合を設立し見直しの方向性を検討する。
同制度は、企業の組織再編を促したり国際競争力を高めたりする観点から平成14年度に導入された。対象は国内にある親会社と、その100%子会社や孫会社。グループ内の黒字企業の利益から赤字企業の損失を差し引けるため、個別の企業に課税するより、法人税がかかる所得を小さくできる。
ただ、グループ内の1社でも申告内容を間違えると、グループ全体で申告作業をやり直す必要が生じるなど事務負担が重く、普及の足かせとなってきた。利用は上場企業の約2割にとどまるという。
こうした課題を踏まえ、総会では委員から、「修正申告の手続きの緩和」や「申告書類を少なくすることによる税務執行の簡略化」といった、制度の仕組みや納税実務の簡素化を求める声が相次いだ。税調の中里実会長は総会後の記者会見で「企業の経営形態の変化や租税回避の防止といった観点も踏まえ、議論する必要がある」と話した。
また総会では、老後に備えた資産形成支援のための所得税制の見直しも議論した。所得税の軽減が受けられる現行の個人型確定拠出年金「iDeCo(イデコ)」などは制度が複雑なため、簡素化を求める指摘が多かった。(西村利也)