ニュースカテゴリ:政策・市況海外情勢
水質汚染改善へ対策費33兆円 行動計画を検討、関連企業に恩恵
配信元:中国新聞
更新深刻化する中国の水質汚染による影響は、製造業や農業を圧迫するだけでなく、住民の健康被害にもおよんでいる(中国新聞社) 中国の環境保護省はこのほど、国務院(内閣)の要請を受け、関連部門とともに水質汚染の改善に向けた具体的な行動計画の策定を進めていることを明らかにした。政府による水質汚染対策の強化により、今後関連企業は少なからぬ恩恵を受けることになりそうだ。
◆「悪い」57.3%
人口の増大や都市化、工業化の進展に伴い、水環境の悪化が叫ばれている中国。環境保護省が発表した「中国環境状況公報(2012年)」によると、全国198の地級行政区にある4929カ所の地下水質観測ポイントのうち、水質が「やや悪い」「非常に悪い」とされる観測ポイントは全体の57.3%。地表水も全般的に「軽度の汚染」状態にある。
中国政府もさまざまな対策を講じてきたが、目に見える効果が得られていないというのが実情だ。各水源には依然として環境容量をはるかに上回る汚染物質が排出され続けており、環境保護省の●青次官も、汚染物質の排出量の多さや地下水問題、管理監督の不徹底といった現状の問題点を挙げ、中国の水環境が極めて深刻な状況にあることを認めている。
「水質汚染を現状の70~50%まで減らさなければ、抜本的な改善は望めない」(業界関係者)という中国の水環境。原因は(1)支出に占める水質汚染対策費の割合の低さ(2)法や関連基準の整備の遅れ(3)妥当性を欠いた政府の援助(4)管理監督システムの不備-にあると指摘する。
こうした中、進められることになったのが今回の「水質汚染対策行動計画」の策定だ。同計画が国務院で可決されれば、今後、水質汚染対策に2兆元(約33兆1600億円)の資金が投じられるとされており、民間企業の発展にも大きな期待がかかる。
莫大(ばくだい)な資金の投入は、政府による水質汚染対策の更なる強化を意味しており、各関連業界に大きな商機がもたらされることは間違いないからだ。
大気汚染対策の行動計画で予定されている投資額が1兆7000億元であることを考えても、中国政府の水質汚染対策に対する本気度が感じられるだろう。
もともと、第12次5カ年計画(11~15年)期間中、都市部の汚水処理施設および再利用施設の建設に4300億元近くの資金が投じられる予定であることから、汚水処理関連業界に対する期待感が広がっていたが、この流れにさらに拍車がかかったといえる。
専門家によると「巨額の投資は水質汚染対策に最先端の技術や設備を導入するためであり、その点において民間資本にも大きなチャンスがある」という。
◆汚泥処理に重点
中でも「水質汚染対策行動計画」の主要課題となっている汚泥処理は今後5年間で、施設の建築や改築、およびその後の運営に1000億元以上が投じられるとみられ、投資対象として一躍注目が集まっている。
関連業界のアナリストは、水質汚染対策と最も関連のある企業として、川上の水処理設備関連会社、川中の建設関連会社、そして川下の汚水処理施設の投資、運営会社を上げており、今後は再生水や膜技術、工業排水処理関連の上場企業にも恩恵がおよぶ見通しだ。
深刻化する水質汚染に対する中国政府の対策強化は、関連業界に対する市場の期待感をも引き上げている。(証券日報=中国新聞社)
●=櫂のつくり