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急成長宅配業務、誤配などトラブル続出 利用者の利益守る保障少なく

ニュースカテゴリ:政策・市況の海外情勢

急成長宅配業務、誤配などトラブル続出 利用者の利益守る保障少なく

配信元:中国新聞

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急成長する中国の宅配業界だが、トラブルも続出している  湖北省武漢市に住むある女性が広西チワン族自治区南寧に住む友人宛てに頼まれた化粧品を送るため、宅配大手の圓通速逓(上海)で10元(約166円)の宅配料を支払い、送付手続きをした。

 「以前にも利用したことがあり、そのときは3~4日あれば到着した」というが、今回は10日が過ぎても友人の手元に荷物は届かない。不思議に思った送り主がネット上で配達状況を調べると、荷物は新疆ウイグル自治区のウルムチに送られていたという。

 顧客サービスセンターに問い合わせたところ、10元の配達料は返金した上で、ウルムチから国際スピード郵便(EMS)で南寧に送付するとの説明され、女性もこれに同意した。しかし、「春節(旧正月、今年は1月31日)前のやり取りだったため、春節前には届けてくれるものだと思っていた」が、2月28日時点でも送り先に届かず、再度問い合わせし、南寧への送付と遅延料としての賠償金を請求したという。

 ところが、荷物には保険がかけられておらず、宅配業者からは、配達料を返金した上で荷物を再送するか、紛失処理扱いとしてその賠償金として300元を受け取るかという選択肢を迫られた。

 現在、中国で宅配便に関する訴訟問題を解決するには「郵政法」か2012年5月に実施された「快逓服務(宅配速達便サービス)」国家基準が適用されている。

 「郵政法」の第45条第2款では紛失に関する賠償について、無保険の荷物は実際の損失額に応じて賠償を行うと明記してはいるものの、賠償額は最高でも配達料金の3倍以内と規定され、遅延に関する賠償額は明確な規定がないのが実態だ。

 一方、「快逓服務」国家基準では、速達便サービスの時間制限として、同一市内は24時間、国内の他地域間では72時間と規定。同一市内で3日間、他地域間で7日間を超えても目的地まで届けられなかった場合には遅延行為と認め、紛失と同等の扱いをすることを定めているが、その賠償額は「郵政法」の規定内容に準ずるとしている。

 関係者は、統一規定が欠如している宅配業界の実態について、「各企業が自社に有利なサービス規定を定めているため、利用者の利益を守るような公平な保障内容は少ない」と指摘している。(長江日報=中国新聞社)

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