SankeiBiz for mobile

三陸沖のカニを追え! 世界初、発信器付けて漁場探査 海洋機構、漁業復興を支援

ニュースカテゴリ:政策・市況の国内

三陸沖のカニを追え! 世界初、発信器付けて漁場探査 海洋機構、漁業復興を支援

更新

 東日本大震災で漁業が大きな打撃を受けた三陸沖の海底で、海洋研究開発機構は今秋からズワイガニの行動を追跡調査することが3日、分かった。小型の発信器を取り付けて生態を分析し、最適な漁場を把握して復興に役立てるのが狙い。深海生物の追跡調査は世界初で、成功すれば魚類にも対象を広げる。

 三陸沖は世界三大漁場の一つだが、石巻港(宮城県)の平成24年の水揚げ量が震災前の約4割にとどまるなど漁業の復興は遅れており、行動調査で漁獲量の回復につなげる。

 最新鋭の調査研究船「新青丸」などを使って海底の様子を調べ、夏ごろに調査海域を決定。10月からズワイガニの調査を始める。

 水深300~500メートルの海底で無人探査機を使ってカニを捕獲。船上に引き揚げ、単4乾電池ほどの大きさの音波発信器を約50匹に取り付けて放流する。

 海底に受信機を設置し、数分ごとにカニから発信される音波をキャッチして記録。約1年後に機器を浮上させて回収し、解析する。

 カニの1日の行動パターンや水温などの生息環境、成長に伴う行動変化などを分析し、時間帯や季節ごとに最適の漁場を探る。

 海洋生物の追跡調査は、クジラなどを衛星利用測位システム(GPS)で追った例はあるが、深海底では初めて。海洋機構は「カニよりも行動範囲が広い三陸名産の深海魚キチジ(キンキ)などでも実施したい」としている。同機構は、高精度な海底地図も作って漁業者に提供する方針。

ランキング