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“アメとムチ”の自動車課税 高給取りのサラリーマンは増税
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ホンダの軽自動車「N-WGN」 政府・与党が12日に決定する2014年度税制改正大綱の概要が10日判明した。焦点となっていた自動車課税の見直しでは、燃費性能に優れたエコカーに対する減税を強化する一方、旧型車の課税を強化するなど“アメとムチ”の制度を導入。消費税増税で収入格差が広がる低所得者に配慮して高給取りのサラリーマンに対する増税策も盛り込んだ。
自動車課税では、購入時にかかる自動車取得税の税率を来年4月から1~2%引き下げる。現在、車体価格の9割に対して登録車には5%、軽自動車に3%の取得税が課せられており、減税で購入時の負担を和らげる。自動車業界は一律3%の引き下げを求めたが、税収減となりすぎるため1~2%の減税にとどめる。
また、車の重さに応じて課税される自動車重量税と毎年納める自動車税は燃費に優れたエコカーは減税する一方で、新車登録から11年を超える旧型車は増税する。
重量税については、新車登録から11年超~13年の車は現状に比べ900円、13年超~18年は1000円のそれぞれ増税になる。軽自動車も、新車購入時に限り増税する方向で調整する。
高給取りの会社員は、増税になる。年収の一部を必要経費とみなし、課税対象から差し引く「給与所得控除」を縮小するためだ。
現在は年収1500万円超のサラリーマンには一律で245万円の控除が認められているが、この年収基準を16年1月に1200万円超、17年1月に同1000万円超に下げた上で、控除額を230万円、220万円にそれぞれ減らす。
17年1月以降、夫婦と子供2人の4人家族で、年収が1200万円の場合だと年3万円、1500万円では4万円の所得税や住民税の負担が増える見通しだ。
消費税増税後の消費の落ち込みに備えて、大企業の接待需要を喚起する施策も盛り込む。資本金1億円超の大企業が接待などで支払う飲食代に限り、交際費の半分までを経費として認め、企業の税負担を小さくする。上限額は設けない。
13年度税制改正では資本金1億円以下の中小企業の交際費は、最大800万円まで経費として全額算入できるようにしたが、大企業の交際費は対象外だった。
国税庁調べでは企業交際費は11年度で2.8兆円と1992年度の6.2兆円から半分以下まで縮小しており、接待を税制優遇することで景気浮揚につなげる考え。
地方自治体の税収格差も是正する。地方自治体が企業に課している「法人住民税」のうち、年6000億円程度を国税化して、税収の少ない自治体に配り直す。6000億円は法人住民税全体の4分の1に相当する。
税収格差を是正する措置としては、現在、法人事業税の一部を国税化して、税収の少ない地方自治体に配り直す「地方法人特別税」があるが、この再配分の規模を消費税率8%段階では3分の2に縮小し、10%段階では廃止を検討する。
【自動車課税】
登録11年超の旧車に自動車税・重量税の課税を強化。自動車取得税は1~2%減税
【地方法人課税】
法人住民税のうち6000億円分を国税化し、税収の少ない自治体に再配分。現行の地方法人特別税は3分の2に縮小
【給与所得課税】
2016年1月から年収1200万円を超えるサラリーマンの所得控除を縮小、17年1月からは1000万円超も対象に
【企業の交際費】
資本金1億円を超える大企業の交際費(飲食のみ)の半分を経費として非課税扱い。中小企業も選択可能
【リニア中央新幹線】
用地取得にかかる不動産取得税と登録免許税を非課税に
【戦略特区】
投資減税措置を拡充