ニュースカテゴリ:政策・市況海外情勢
インドネシアで日系家電巻き返し 韓国勢に対抗、積極的な販売戦略
更新
シャープは著名なコメディアン(中央)をイメージキャラクターに起用し、冷蔵庫の販売促進を図る=6月、ジャカルタ市内のホテル インドネシアの家電市場が好調だ。近年の年間販売額は前年比20%前後の伸びを記録。一方で、今年半ば頃からは、通貨ルピア安や政府補助金付きのガソリン価格の値上げによるインフレ懸念などが不安要因として挙がっている。
インドネシアの内外電機メーカーで構成されるエレクトロニック・マーケターズ・クラブ(EMC)の統計によると、今年1~5月の携帯電話やパソコンなどを除く家電販売額は13兆1000億ルピア(約1245億円)で前年同期比15%増。洗濯機は同29%増、エアコンは同27%増など、急速な拡大を続けている。通年でも同じペースでの増加を見込んでおり、各社が積極的な販売戦略を立てている。
近年、サムスン電子、LG電子の韓国勢がシェアを伸ばす中、日系メーカーも巻き返しを図っている。
パナソニックは昨年度(2012年4月~13年3月)、前年度比18%増を記録した市場全体の伸びをやや下回る17%増となったが、今年度は20%増を目標に掲げる。冷蔵庫、洗濯機、エアコンの白物家電、テレビ、オーディオ機器といった従来の主力製品に加え、電子レンジやトースター、ミキサー、炊飯器などの小型家電、ヘアドライヤーやスチーマーなど高機能の美容家電製品にも力を入れる方針だ。
シャープは冷蔵庫と洗濯機の新工場建設を進めており、今年末には生産を開始する予定。冷蔵庫はインドネシア国内の普及率が昨年時点で41%(同社調べ)と、まだ拡大が見込まれる。
冷蔵庫は1ドア式が市場全体の62%を占めるが、所得水準の上昇に伴い、2ドア式の需要の伸びが市場全体の伸びを上回っている。インドネシア市場向け製品の開発も進め、2ドア式の製品を拡充し、国内トップとなる35%のシェアの維持、拡大を図る考えだ。市場全体で20%以上の伸びが見込まれる洗濯機では今年、シェアを30%に引き上げるとしている。
東芝も洗濯機市場での戦略を強化。昨年11月に新工場が完成し、これまでタイから輸入していた製品を現地生産に切り替えることで、競争力を高めている。3%ほどだった国内シェアを2桁まで引き上げることを目標とする。
ソニーは、短文投稿サイトのツイッターのツイートをリアルタイムで表示する機能を搭載した新テレビを発表。キーワードをライブ表示する機種は初めてという。
調査によると、テレビを見ながらスマートフォン(高機能携帯電話)やタブレット型端末などでメッセージを発信している人が多いことが分かり、サッカー中継とその試合に関連したツイートを同時に楽しむことができる機能を開発した。
ツイッターの利用者が多い米国、ブラジルと合わせた3カ国で投入する。世界で最もツイッターが盛んな都市とされるジャカルタを中心に、富裕層の若者をターゲットに浸透を目指す。
ソニー現地法人の荒井聡社長によると、インドネシアの家電市場全体の半分を占めるのが携帯電話販売。スマホの「エクスペリア」を軸に、近距離無線通信(NFC)機能を用いたスピーカーやカメラとの接続性を訴える。また、フルハイビジョンの4倍の解像度を持つ「4K」搭載テレビの販売も開始。ブランドイメージの維持、向上を図っていく方針だ。(インドネシア邦字紙「じゃかるた新聞」編集長 上野太郎)