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「海洋メタン」初の産出成功 米を追走 商業化へ技術革新課題
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資源の大半を輸入に頼る日本にとって、メタンハイドレートの試験生産成功は、新型天然ガス「シェールガス」の開発で資源大国へ変貌を遂げる米国を追走できる可能性を秘めている。
「一つ一つ課題を乗り越え、わが国周辺の資源を活用できる時代が来る」。茂木敏充経済産業相は12日の閣議後会見で、期待感を示した。
現在、日本が自前で生み出せるエネルギーは水力発電が中心で、エネルギー自給率は4.8%(2010年)と極めて低い。エネルギーの大半は石油や液化天然ガス(LNG)など化石燃料の輸入に頼る。
東京電力福島第1原発事故後、原発の稼働停止による化石燃料の輸入量増大も問題となっており、国産資源開発は重要度を増している。
昨年10月には、秋田県由利本荘市の鮎川油ガス田で、地中深くの岩盤層に含まれる石油「シェールオイル」の試験採取に成功。ただ、秋田県全域の埋蔵量は国内の年間石油消費量の1割程度と少ない。一方、メタンハイドレートの埋蔵量は、今回の試験海域だけでも国内の天然ガス消費量の10年分以上、日本近海では同約100年分との推計もあるなど、シェールオイルとは桁違いの規模だ。
さらに、メタンハイドレートは石油や石炭に比べ、燃焼時の二酸化炭素(CO2)排出量が少ないなど、環境面での優位性も指摘される。
海底にあるメタンハイドレートの開発には専用技術が必要だが、日本は独自技術の開発で世界で初めて海洋での産出試験に成功した。
ただ、現在の技術では高値で知られる日本のLNGの輸入価格と比べても3倍以上の開きがある。商業化に向けて革新的な技術開発が求められている。