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中国、レアアースで過剰な輸出枠設定 「脱中国」危機感で供給増

ニュースカテゴリ:政策・市況の海外情勢

中国、レアアースで過剰な輸出枠設定 「脱中国」危機感で供給増

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 【上海=河崎真澄】中国商務省は29日までに、戦略資源と位置づけているレアアース(希土類)の2013年上半期の輸出枠を1万5501トンに設定した。

 12年の中国のレアアース輸出実績は約1万3千トンと過去10年間で最低を記録。3万996トンだった12年通年の輸出枠は半分以上が使われずに終わる。商務省は需給バランスに見合わない過剰な輸出枠を設定した形だ。

 レアアースはスマートフォン(多機能携帯電話)などハイテク製品やエコカーなどの製造に欠かせない材料。

 だが、10年9月に起きた中国漁船衝突事件で、中国が“制裁措置”としてレアアースの対日輸出を規制したことを受け、日米などは代替技術の開発や中国以外から資源を調達する「脱中国」を進めた。

 中国はこうした国際社会の反応に危機感を強め、供給増を図ったものとみられる。

 日系企業幹部によると、中国の業者から安値でのレアアース輸出を持ちかける商談が増えているという。10年までは中国がレアアースの世界需要量の9割を供給し、日本が最大の輸出先だった。昨年から今年にかけて国際市場価格の大幅な下落も続いている。

 中国のレアアース輸出規制問題では日米欧が今年3月、世界貿易機関(WTO)に提訴した。輸出枠拡大には国際的な批判をかわす狙いもありそうだ。

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