“確信犯”的な「攻め」のデザインがもたらした○と× トヨタ・C-HR(後編)
高額商品であるクルマにユーザーが求める価値は多岐にわたる。経済性、実用性、快適性、速さ、楽しさ、ステイタス、そして夢。メーカーがデザイン検討のために作るコンセプトモデルはまさに夢の塊と言えるが、もしコンセプトモデルがそのままの形で市販化されたら…。そんなクルマ好きの夢想に答えるデザインで市販化されたC-HR。しかし実際に試乗してみると、その造形に起因する改善が必要な点もいくつか見受けられた。“確信犯”的にデザインを優先した「世界戦略車」の○と×に迫る。(文と写真:産経新聞Web編集室 小島純一)
「これで公道を走っていいんだぁ」感動もののスタイル
C-HR最大の特徴はなんと言ってもその外観だ。2014年のパリモーターショーで2ドアコンパクトSUVのコンセプトカーとしてお披露目。2015年の東京モーターショーでは前年のイメージを引き継ぎつつ4ドア化、現在の市販版に近い形に改められた。
コンセプトモデルから読み取れる特徴は大きく2つある。2ドア(または2ドア風)であることと、腰高・大径タイヤというSUVの特徴を持ちながらルーフとリアハッチの面をなだらかにつないだファストバックスタイル。BMWのX4、X6やベンツ・GLCクーペなどにも見られるSUVクーペのデザイン手法だ。
2015年版との比較画像を見てわかるとおり、コンセプトモデルのイメージは極力保たれており、200万円台から買える大衆車としては相当チャレンジングなデザインと言っていい。ただ一点、市販化でありがちなことだが、タイヤ(ホイール)サイズが小さくなってしまったのは残念。しかし、それを差し引いても実物を目の前にすると「おぉ、これで公道を走っていいんだぁ」とちょっと感動する。
戦隊ヒーローが乗っても違和感なし
現在のコンパクトSUVの流行は2010年発売の日産ジュークが火付け役と言われ、国内ではホンダ・ヴェゼル、マツダ・CX-3、スバル・XVなど、ここ数年で各社が追撃する流れになっている。