【試乗インプレ】完璧なスタイル 常時4人乗車が前提の快適性 ジャガー・F-PACE(後編)
更新 日本デビューしたてのF-PACE。
前後左右、どこから見てもカッコイイ
前編でも書いたとおり、まずパッと見がでかい。試乗車の色が膨張色である白だったから余計にそう感じる。SUVだから背が高く、加えて1.9メートルを超える横幅が威圧感を上塗りする。大きく口を開けたフロントグリルも迫力満点だ。
フロントマスクは最近のジャガー顔を踏襲しており、前を走る車に対するバックミラー越しのアピールが強烈。駐車場に止めている時でさえ、その面構えがオーナーの気持ちを高ぶらせるだろう。
横からの眺めでは、そのSUVらしからぬロングノーズが際立つ。リアハッチを思い切り寝かせた流麗な横顔と相まって、あたかも背の高いスポーツカーという風情を醸し出す。短いフロントオーバーハングが高い運動性能を想起させると同時に、デザイン全体に高級車らしい安定感をもたらしている。
そして“お尻”は、こちらも最近のジャガー風味を踏襲。リアガラスからそのままテールランプにつながる流れは、プロテニスプレーヤー錦織圭の愛車としてもおなじみのスポーツクーペF-TYPEをも彷彿させ、「く~コレコレ!」と思わず呟いてしまったほどだ。
ここ数年、国内外各メーカーでSUVのラインナップが充実し、スタイリッシュなデザインの車種が増えてきたが、ライバルひしめくなかでもこのF-PACEのスタイルは格別。大型SUVではダントツのデザインと言っていい。前後左右、どこから見てもカッコ良く、文句のつけようがない。
前編の冒頭で昨年の東京モーターショーで一目惚れ、みたいなことを書いたけれど、まさにあの時の第一印象そのままだった。
これまでセダンとスポーツカーにカテゴリーを絞ってクルマを作ってきたジャガー。セダンもスポーツカーも、自動車のもっとも古典的なスタイルであり、ワゴンやミニバンなどと比べると、デザイン上の制約が少なく、美しい形状のクルマを作りやすいカテゴリーだ。実際、歴代のジャガーは世代によってテイストの違いはあれ、いずれも外観デザインが美しく、その形が所有欲を喚起させる車種が多かった。そんなジャガーが作った初めてのSUVが美しいのは必然なのかもしれない。