米アップルは9日、腕時計型端末「アップルウオッチ」を日米など9カ国・地域で4月24日に発売すると発表した。4月10日から予約を受け付ける。アップルとしては2010年発売のタブレット端末「iPad(アイパッド)」以来の新分野の製品となる。身につけることができるウエアラブル端末では、韓国のサムスン電子やソニーなどが腕時計型を発売済み。後発ながらも“真打ち”の登場で、期待ほどの成長は見せていないウエアラブル市場の起爆剤になると期待されている。
ただ、アップルウオッチはスマートフォンの「iPhone(アイフォーン)」との連動製品で、単独で購入しても意味がない。バッテリーは18時間しかもたず、価格も高額で、スマホのような新市場を創出するのは難しそうだ。
「私は5歳の時からこの日が来るのを楽しみにしていた」
サンフランシスコで開いた新製品発表会で、アップルのCEO(最高経営責任者)、ティム・クック氏(54)は、誇らしげにこう語った。
アップルウオッチはアイフォーンの「5」以降のモデルと連動して使う。通話や電子メールの送受信、地図やニュースの表示、心拍数の計測などができる。
本体をポケットやかばんから取り出さなくても、手首を見るだけで済む。米国では、提携先の店で時計をかざせば支払いができるほか、提携ホテルで部屋のカギとしても使える。
クック氏は「信じられないほどの豊かさを生活に提供できる」と意気込む。
大きさは縦38ミリと42ミリの2種類。スポーツタイプのアルミニウム製(10モデル)と標準タイプのステンレス鋼製(20モデル)と、高級タイプの18金製(8モデル)の3タイプで全38モデル。
アップルによると、日本での税別価格はスポーツタイプが4万2800円から、標準タイプが6万6800円から、高級タイプは128万円から。
「多くの消費者をウエアラブル市場に向かわせる切り札となる」。米大手調査会社FBRキャピタル・マーケッツのアナリスト、ダニエル・アイヴ氏が米紙USA TODAYでこう指摘したように、アップルウオッチへの期待は大きい。
サムスンやソニーなどが発売した腕時計型は、アップルの最大のライバル、米グーグルの基本ソフト(OS)「アンドロイド」を搭載しているが、米調査会社カナリスによると、2014年後半の出荷台数は72万台にとどまる。
これに対し、アップルウオッチは500万~600万台が生産委託先に発注されたと伝えられている。
注目されていたバッテリーの持続は18時間で24時間もたず、サムスンの2日間に大きく劣り、100%充電に2時間半かかる。価格もライバル製品に比べ割高で「ぜいたく品」との評価だ。
それでも、全世界に熱狂的な支持者の「アップルマニア」がいるのが強みだ。米誌タイム(電子版)によると、米調査会社アドビのアナリストはアップルウオッチに連動する端末が世界に約5億台あり、その5~10%が購入しただけで、2500万~5000万台に達すると試算している。
アイフォーンの付属品にとどまり新市場を創出できなくても、一定のヒットは約束されている。アップル恐るべし!(SANKEI EXPRESS)