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飛ぶように売れるガンダム・グッズ マニア心理くすぐる

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飛ぶように売れるガンダム・グッズ マニア心理くすぐる

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「超・大河原邦男展」の図録。表紙のカバー(左)を広げると、原画ポスターになる  アニメ「機動戦士ガンダム」に登場するメカのプラモデル、「ガンプラ」。昭和55年の発売開始以来、これまでに累計4億個が売れたガンプラが今、兵庫県立美術館(神戸市中央区)で売れに売れている。

 同美術館で5月19日まで開催中の「超・大河原邦男展-レジェンド・オブ・メカデザイン-」の会場限定モデルだ。

 同展は、ガンダムや「ヤッターマン」シリーズなど数々の人気アニメに登場するメカのデザインを担当してきた大河原邦男(おおかわら・くにお)さん(65)の業績を振り返る展覧会。会場には初公開となる原画が数多く展示されているが、見るだけでは満足できないマニア心理をくすぐるグッズも人気を集めている。

 1人5個までに制限

 美術館3階にある物販コーナー。訪れたファンの視線は展示スペースと同様、ここにも熱く注がれる。

 販売されているガンプラの限定モデルは100分の1サイズで、4515円。30年余のガンプラの歴史で初めて、大河原さんが特別に描き下ろした原画がパッケージ(箱絵)に採用され、模型のパーツの成形色も大河原さんが監修したという特別バージョンだ。

 展覧会の開幕前から話題を集め、美術館は購入を展覧会のチケット1枚につき5個までに制限。それでもいったん完売したため、製造元のバンダイは急遽、増産した。大河原さんは「パッケージは細部まで力を入れて描いているので、プラモデル作りと合わせて、じっくりと鑑賞してほしいですね」と話す。

 図録の購入率2倍

 同展は「科学忍者隊ガッチャマン」(昭和47年放送)に始まる大河原さんのメカデザインの歴史を、これまで公開されたことのない原画を中心に展示。美術館側も驚いているのが、図録の売れ行きだ。

 図録はB5判352ページで、出展されている400点以上の資料をカラー図版で収録。当初5千部を準備していたが、予想以上の人気のため、3月23日の開幕から2週目に5千部の追加発注を決めた。従来、展覧会での図録の購入率は来館者の平均6~7%。だが今回は、ほぼ2倍の13・4%に上っているという。

 人気の理由について同館学芸員の小林公(ただし)さんは「大河原さんは40年にわたり活躍してきたので、来館者を見ているとファンの年齢層の幅広さを実感します。各世代がそれぞれの時代の思い出の記録用に、図録をコレクションとして購入してくれているようです」と分析する。

 トヨタが車も開発

 会場に並ぶ究極のマニアグッズともいえるのが、車だ。美術館入り口に展示されたひときわ目立つ真っ赤な乗用車が、来館者の目をひきつける。トヨタ自動車が企画・開発したコンセプトカー「シャア専用オーリス」だ。

 ガンダムの主人公アムロ・レイのライバル、シャア・アズナブルは、専用の赤いモビルスーツでガンダムと戦いを繰り広げる。

 そこで、真っ赤なボディーの小型ハッチバック「オーリス」に、モビルスーツの角をイメージしたアンテナを装備。エンブレムも、シャアが所属するジオン軍のものになっている。

 「美術館とのコラボは初めてで、当初は不安でした」と話すのは、同社広報部の柳澤俊介さん。ところが来館者の注目度は高く、「問い合わせも多く寄せられ、中にはオーリス目当てで美術館へ来てくれる方もいます」。

 会場に展示されるのは5月4日までだが、10月に市販されることも決まった。柳澤さんは「ゴールデンウイーク中は運転席にも乗れますので、ぜひ実物を見に来てください」と呼びかけている。(戸津井康之)

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