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キャンギャル交代、繊維各社の思惑は? 「美しさ」だけが選考基準にあらず
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旭化成キャンペーンガール・池田沙絵美さん=2月1日、大阪市北区・阪急梅田本店(志儀駒貴撮影) 昨年末から繊維各社のキャンペーンガール(キャンギャル)が相次ぎ交代し、今春ニューフェースが出そろう。
すでに、デビューした東レのキャンギャルやユニチカのマスコットガールに抱負を取材したのだが、「無理なダイエットはしません」「特技欄のピアノはレッスンが厳しかったので、やめちゃいました」なんていう珍回答が続々。背景には、キャンギャルに初々しさを求める繊維各社の思惑もあるようだ。
風吹ジュンさん、紺野美沙子さんらを輩出した名門「ユニチカマスコットガール」に昨年12月に選ばれたのは、中学1年の松田莉奈さん(13)。これまでのマスコットガールで、13歳で選ばれたのは手塚理美さんただ一人。選考時、手塚さんの方が数カ月若かったようだが、「最年少タイ」だ。
かわいらしさの中に大人びた表情も併せ持つ松田さん。野心的でギラギラした性格かと思いきや、取材時は、マイペースな珍回答がどんどん飛び出した。
たとえば、マスコットガールのホームページを見ると、特技欄には、ピアノ、水泳、短距離走と並んで「変顔」の文字が。真意を尋ねると、「お父さんから『タレント向きだから、変顔を特技にしろ』といわれたので…。でも、いまだにできません」。
習い事として小学2年から続けていたピアノは、「先生がめっちゃ怖かったので頑張りました」。苦手だった音感も身につき始め、「『うわーっ』と思いました。やればできる子なんです」と胸を張る。
だが、学校の陸上部との両立が難しく、「ピアノは先日やめちゃいました」とあっけらかんと打ち明ける。
ネスレのチョコレート菓子「キットカット」の包装材を作っている会社と知って、ユニチカに親近感がわいたという松田さん。注目されるのが好きで、まったく緊張しないとか。将来は、人を笑わせるバラエティーや女優など、「何でもやってみたい」と夢は膨らむ。
「一流の芸能人になるなんておこがましい…。思い出作りになれば」
謙虚に語るのは「2013年 東レ水着キャンペーンガール」に選ばれた岩崎名美さん(16)。
身長は168センチでバスト83センチ、ウエスト58センチ、ヒップ85センチ。股下(脚の長さ)はなんと85センチと股下比率が50%を超す見事なプロモーションだ。
芸能事務所にモデルとしてスカウトされたのは中学進学前の春。華やかな美貌ゆえに数十人から声をかけられたが、最も熱心に誘われたカレント(東京)を選んだ。
水着姿がつきもののキャンギャルだが、「食事を減らして痩せてもリバウンドしちゃう。無理をしないことが一番。私は褒められて伸びるタイプなんです」と発言は自由奔放だ。
芸能活動が本格化し、最近はだんだん向上心が芽生えてきたとか。「お芝居やバラエティーにも興味が出てきました」と夢を語る。
東レ、ユニチカと並ぶキャンギャルの名門、旭化成キャンペーンモデルは今春、顔ぶれが変わる。
1年余り、国内外延べ約60カ所の旭化成グループの事業所を飛び回った2012年モデルの池田沙絵美さん(22)。
就任当初、まじめで負けん気の強さが持ち味とアピールしていたが、「自分をよく見せようとするあまり、『取っつきにくい』『人見知り』と誤解され、悩んだこともあった」。
昨年末、祖父から「いつもの通りでいいよ」とアドバイスされ、「ようやく気持ちが吹っ切れた」という。素直で礼儀正しく、旭化成グループ内の評判は上々。各事業所でファンを増やしてきた。
モットーは、出身地である鹿児島の偉人、西郷隆盛が好んだ「敬天愛人(天を敬い、人を愛する)」。若さに似合わぬ古風さで、芸能界の荒波に挑む。
キャンギャルはかつて飛び抜けた美貌の女性ばかりで、「高嶺の花」という印象が強かった。しかし、最近は美しくも親しみやすい女性が選ばれるようになった。キャンギャルが単なる広告塔ではなく、社内融合のシンボルとしても位置づけられるようになり、社員との親睦を深めるようになったためだ。
彼女たちは、企業と消費者の距離感を縮める役割も担う。ユニチカIR広報グループは「マスコットガールは最終商品を持たない当社と、一般消費者を結ぶ“架け橋”。水着姿にはならないので、若く将来性のある少女たちを選ぶようになった」と説明する。初々しさ、親しみやすさは各社キャンギャルの大きな選考基準になってきたようだ。(藤原章裕)