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中国「習近平派」着々 勢力図に変化

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中国「習近平派」着々 勢力図に変化

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新年のあいさつを発表する中国の習近平国家主席。2015年も反腐敗運動を継続する考えを強調したが、反腐敗運動は自らの派閥形勢と表裏一体をなしている=2014年12月31日、中国・首都北京市(新華社=共同)  中国の習近平国家主席(61)は、汚職や横領などの名目で政敵になり得る有力者を次々と失脚させる一方、自身が地方指導者として勤務した時代の元部下らを重要ポストに登用、共産党内で新しい派閥を形成しつつある。上海閥、共産主義青年団(共青団)派と太子党(共産党高級幹部の子弟グループ)という三大派閥の拮抗(きっこう)といわれてきた党内の勢力地図が、様変わりしようとしている。

 元部下に重要ポスト

 習主席は30代から50代まで福建省と浙江省で計22年間勤務した。その際、両省を統括する南京軍区の幹部たちと頻繁に交流した。新しい「習派」は、最近中央入りした福建、浙江両省と南京軍区の幹部たちを中心に構成する。

 習主席は浙江省で党委書記(省トップ)をしていた際、地元紙に「之江新語」と題するコラムを週1回掲載。今は本にまとめられ、習主席の重要思想として全国の党幹部が学習している。このため一部の香港紙はコラム名から新しい派閥を、「之江派」と名付けている。

 汚職官僚の失脚後に発表された後任人事などで習主席の元部下たちは昨年、次々と“重要ポストに”にあてられた。強引な面は否定できず、波紋を広げることも多かった。エネルギー政策を担当する国務院発展改革委員会副主任の劉鉄男(りゅう・てつなん)氏(60)が昨年夏に失脚すると、習主席の福建省時代の側近で、天津市政治協商会議主席という閑職にいた、何立峰(か・りつほう)氏(59)がすぐに抜擢(ばってき)された。「何氏を処遇するために劉氏を失脚させたのでは」といった噂がながれた。

 また、海軍政治委員に、海軍の経験が全くない陸軍出身の苗華(びょう・か)氏(59)を持ってきたことも、海軍内から大きな反発があったという。

 権力闘争に影響も

 習主席が昨年末、共青団派の令計画(れい・けいかく)氏(58)を失脚させた際、令氏が党内で勉強会を頻繁に開くなど積極的人脈づくりを行ったこを念頭に、「党内で徒党を組み、派閥をなすことは断固容認しない」との談話を発表した。にもかかわらず、自身は露骨な側近政治を展開していることに対し、党内で「言行不一致」といった不満の声が上がっている。

 これまでの党内の三大派閥のうち上海閥は江沢民元国家主席(88)が中心、共青団派は胡錦濤前国家主席(72)の側近たちで固めていた。しかし元高級幹部子弟で構成する太子党は、習主席を中心とするグループではない。習主席より先輩格の政治家も多く、考え方も保守派から改革派まで幅広い。一連の人事による“習近平親衛隊”の形成は、今後の権力闘争に影響を与えそうだ。(北京 矢板明夫/SANKEI EXPRESS

 ≪中国軍艦、首脳会談直後に尖閣沖航行≫

 中国海軍の軍艦2隻が昨年12月中旬、尖閣諸島(沖縄県石垣市)の北方約70キロの海域で航行していたことが5日、分かった。中谷元(なかたに・げん)防衛相(57)は5日、防衛省職員・自衛隊員向けの年頭の辞で「中国は昨年12月にも、海軍艦艇をわが国周辺海域で航行させており、海軍艦艇の太平洋への進出を常態化させている」と述べた。

 中国軍艦はこれまで大隅海峡(鹿児島県)を通過する際などに尖閣に対して70キロよりも接近したことはあるが、11月に3年ぶりの日中首脳会談が実現した直後だっただけに、自衛隊では中国の動向や意図を慎重に分析している。

 中国軍艦をめぐっては、昨年12月4日に大隅海峡を通過し、12月25日に宗谷海峡を通過して日本列島を周回する行動も確認されている。また、2013年1月に中国海軍艦が海上自衛隊の護衛艦に対し射撃管制用レーダーを照射したほか、中国軍機による異常接近などが相次いで発生。中谷氏は「(中国軍は)不測の事態を招きかねない危険な行為を繰り返しており、極めて危険な状態だ」と指摘した。

 また、海上保安庁は5日、沖縄県・尖閣諸島周辺の領海外側にある接続水域で、中国海警局の船3隻が航行しているのを確認した。中国当局の船を尖閣周辺で確認するのは昨年12月30日以来。

 第11管区海上保安本部(那覇)によると、3隻は海警2115、海警2151、海警2337。海保の巡視船の警告に、中国側から中国語と日本語で「中国海警船隊は中国の管轄海域で定例のパトロールを行っている」と応答があった。(SANKEI EXPRESS

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