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ふわとろ 懐かしく新しい手作りの味 京都洋食ムッシュいとう

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ふわとろ 懐かしく新しい手作りの味 京都洋食ムッシュいとう

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卵3個を使った「ふわとろオムライス」(700円)。客の眼前で包丁を入れると卵がとろけ出す=2014年5月12日、京都市中京区(恵守乾撮影)  【京都うまいものめぐり】

 ≪パリッ、もくもく、香ばしい!≫

 鴨川にも近いとあって休日は観光客らでにぎわう河原町三条の交差点のすぐそばで2011年10月に開業した「ロイヤルパークホテル ザ 京都」の地下1階に今年3月、開業した「京都洋食ムッシュいとう」は、1961年、京都大学(京都市左京区)の近くで創業した知る人ぞ知る洋食店の味を継承するバル形式のおしゃれな洋食レストランだ。メニューの価格も300~700円が中心とリーズナブルで午後10時以降も入店できるとあって、幅広い層の支持を集めている。

 高級感、リーズナブル

 最近、流行のバル形態のレストランだが、京都ではこじんまりした感じの店舗が多い。しかしこのレストランはホテル内に併設しているとあって、広々とした空間と、モダンで高級感ただよう雰囲気が魅力的だ。

 仕事終わりにちょっと一杯というサラリーマンから、奥様方の気軽なランチパーティー、デートの学生などなど、どんな場面でも気軽に立ち寄れ、リーズナブルに楽しめる。

 このレストランなどを経営する飲食店グループ「円居(まどい)」(京都市東山区)の伊藤英彰代表取締役兼オーナーシェフ(56)によると、始まりは61年、伊藤氏の両親が京大そばの東山近衛でスタートさせたクラシック音楽専門の名曲喫茶だった。

 常連は京大のオーケストラ演奏家の面々だったが、彼らから「外に食事しに行くのは面倒だから、何か食べるものを作ってほしい」との要望に応えたのが洋食屋としての第一歩だった。

 原点に立ち返って

 その後、63年に同じ京大近くの百万遍に洋食レストラン「円居」(現在も営業中)を開業したのを機に飲食店グループとして成長。

 現在、京都、東京、名古屋にフランス料理店や洋食バル、カフェレストラン、バーなど計17店舗を運営しているが、京大の吉田キャンパス内に2003年に登場した本格フレンチとして話題となった「ラ トゥール」や東大の駒場キャンパス内にあるフレンチ「ルヴェ ソン ヴェール駒場」も実はこのグループの運営だ。

 そんな円居グループが“洋食”という原点に立ち返ってオープンさせたのが「京都洋食ムッシュいとう」とあって、メニューの方も洋食への愛やこだわりに満ちている。

 「洋食からスタートして、フレンチにシフトして、6年前からイタリアンも手がけていますから、これら全てのジャンルを横断した洋食がうちのウリですね」と伊藤氏。

 視覚や香りも楽しめる

 その言葉通り、街の洋食の良さにひと工夫加わったメニューはどれも質が高い。「煙もくもくサーモン燻製サラダ」は、レタス系の野菜やトマト、オニオンなどにサーモンを加えたサラダに、特殊な機械で桜のチップの煙をたっぷり浴びせたユニークな逸品。

 スモーキーな燻香が食欲をそそるが「食べて美味しいだけでなく、視覚や香りも楽しめます」(伊藤氏)。

 約40年前から提供している看板メニューのひとつ「豚ロース肉の熱々とろとろチーズカツレット」は、オーブンで焼いたカツのパリッとした食感と肉のしっとり感に、内部のとろけるチーズがぜいたく。

 洋食の大定番といえる「ふわとろオムライス」は「ケチャップにデミグラスソースを入れ、味に深みを出した」(伊藤氏)のが特徴で「お客様にお出ししてから卵の部分を切り、ふわっと広げる」のだが「古くからの洋食ファンのために、昔ながらのふわっとしない普通のオムライスもありますよ(笑)」と“洋食愛”を忘れない。

 伊藤氏は「最近は洋食店というスタイル自体が少なくなっていますが、うちはこれからも古くて懐かしくて新しい手作り洋食を提供し、京都らしい“100年企業”を目指したいと思います」と抱負を語った。(文:岡田敏一/撮影:恵守乾(えもり・かん)/SANKEI EXPRESS

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