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ソチで日露首脳会談 領土問題 「早期に解決」首相意欲
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北方領土・歯舞群島、色丹島、国後(くなりし)島、択捉(えとろふ)島 安倍晋三首相(59)は2月8日午後(日本時間8日夜)、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領(61)と冬季五輪開催中のソチの大統領公邸で会談した。北方領土問題や平和条約締結に向けた交渉を加速させる方針を確認し、プーチン氏が今秋に日本を訪問することで合意した。10月から11月にかけて来日する方向だ。
首相は会談の冒頭、第2次安倍政権が発足して日露首脳会談が昨年(2013年)10月以来、5回目となることに触れ、「日露の歴史に新しいページを刻むことができた。日露関係をさらに発展させていくことができるよう会談を素晴らしいものにしたい」と語った。プーチン氏は「日露関係は継続的、積極的に発展している」と指摘した上で、日露の貿易高が増えていることを挙げ「2国間関係で最も難しい問題の解決のための良い環境ができあがっている」と述べた。
会談では、ロシア側が力を入れるロシア極東・シベリア開発を含む経済やエネルギー分野の協力強化を確認。昨年(2013年)11月に立ち上げた外務・防衛閣僚協議(2プラス2)など安全保障分野の対話を促進させることなどでも一致した。
安倍首相は会談後、ソチ市内のホテルで記者会見を行い、北方領土問題について「日露関係全体の発展を図りながら北方四島の帰属問題を解決して平和条約を締結するという基本方針の下、粘り強く交渉に取り組む」と述べた。その上で「次の世代に先送りしてはならない。可能な限り早期に解決しなければならない」と決意を表明した。
また、今秋のプーチン大統領来日で一致したことを受け、「今まで築き上げてきた個人的な信頼関係を二国間関係の発展という次元へと一段と高めていきたい」と強調した。
北方領土問題をめぐり、安倍首相は個人的な信頼関係を生かした交渉の加速化に意欲をみせるが、決してロシア側が柔軟な姿勢を示しているわけでもない。解決に向けたハードルは依然高いままだ。
プーチン大統領は自らの肝いりで誘致したソチ冬季五輪のホストとして7日に開会式を終えたばかり。中国の習近平国家主席(60)ら約40カ国の首脳がソチを訪れる中で、翌8日に安倍首相を大統領公邸に招いた。その厚遇ぶりは首相の熱意に応じたものといえるが、肝心の領土問題で具体的な進展があるわけではない。
1月31日に東京都内で開催された日露次官級協議では、領土問題の議論が約5時間にも及んだ。外交筋によると、ロシアのイーゴリ・モルグロフ外務次官は「北方四島は第二次世界大戦の結果、旧ソ連が領有権を獲得した」と原則論を繰り返し、領有の正当性を訴え続けたという。
領土問題が今も厳しい状況にあることを日本側も感じている。だからこそ、首脳同士の頻繁な会談だけでなく、極東・シベリア開発支援や経済、医療、農業など多岐にわたる協力関係を築くことで、領土問題の解決に向けた環境整備を進めていく方針だ。
首相は9日夜、羽田空港に到着する。(ソチ 酒井充/SANKEI EXPRESS (動画))
≪秋田犬「ゆめ」が出迎え≫
「時々かむけど良い犬だ」-。プーチン大統領は2月8日、南部ソチの大統領公邸で安倍晋三首相と会談した際、東日本大震災後の支援に対する感謝の印として秋田県の佐竹敬久(のりひさ)知事から贈られた秋田犬「ゆめ」と共に玄関先に出て首相を出迎えた。ロシアメディアが伝えた。
安倍首相はすぐにゆめだと気付いたが、ゆめは報道陣のフラッシュに驚き、戸惑った様子。一緒に邸内に入ると、両首脳はしばし、ゆめ談議。タス通信によると、首相はゆめをなでながら、ロシア語で「良い犬だ」と話すと、大統領は「そうですね。でも時々かむんですよ」と応じ、首相に注意を促した。(共同/SANKEI EXPRESS (動画))
・ロシアのプーチン大統領が秋に日本を訪問することで合意
・北方領土問題の早期解決と、日露平和条約締結に向けた交渉を加速させる方針を確認
・安全保障対話やエネルギー、ロシア極東・シベリア開発への日本の投資など包括的な協力関係強化で一致
・プーチン氏は安倍晋三首相のソチ冬季五輪開会式への出席に謝意を伝達