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【大阪出直し市長選】独り相撲の「橋下劇場」幕開け

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【大阪出直し市長選】独り相撲の「橋下劇場」幕開け

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 ≪自・民は擁立見送りへ≫

 日本(にっぽん)維新の会共同代表の橋下(はしもと)徹大阪市長(44)は2月3日、大阪市内で記者会見し、頓挫しかねない情勢になっている大阪都構想の進め方をめぐり民意を問うため、市長を辞職し、出直し市長選に出馬する意向を正式に表明した。これに対し、自民、民主両党府連は「大義がなく横暴だ」などとして、対立候補の擁立を見送る方針を決めた。選挙戦は争点が不明確になる可能性が高まり、主要政党が候補者擁立を見送る中、独り相撲の「橋下劇場」が幕を開けた。

 橋下氏は会見で、都構想について「住民の後押しを受け、僕が思い描く手続きで進めさせてほしい。(争点は)設計図を見たいか見たくないかだ」と述べた。

 都構想をめぐっては現在、特別区の区割り案が4つあり、特別区設置協議会(法定協)で橋下氏は区割り案を住民に提示するため、4案の絞り込みを求めていた。だが、自民、公明、民主党などは反対した。橋下氏は「法定協で進め方にストップをかけられた。このままなら5年かけてもまとまらない」として、出直し市長選に踏み切る決断をした。

 会見では再選しても進展しない場合について「民主主義の中でありとあらゆる手段を考える」と述べ、再び出直し市長選を行う可能性に言及。維新共同代表のポストについては「負ければ資格要件がなくなる。市民が『都構想の説明はもういらない』というなら政界を去る」と強調した。

 一方、自民、民主両党府連は3日、対立候補の擁立を見送る方針を決めた。自民党の石破(いしば)茂幹事長は3日の記者会見で「市長選を実施する必然性がどこにあるのか。理解しかねる」と語った。民主党の海江田万里(かいえだ・ばんり)代表は「府連の判断を尊重する。何のために選挙をするのか明確に伝わらなかった」と指摘した。

 市長選は3月2日告示、16日投開票や9日告示、23日投開票の日程が浮上している。

 ≪「大義ない」「理解しかねる」各党静観の構え≫

 橋下(はしもと)大阪市長が表明した出直し市長選をめぐり、日本(にっぽん)維新の会内に強気と弱気が交錯している。国会議員団の間では、大阪都構想の実現は党勢回復に不可欠なため、全面的に支援すべきだとの主戦論が目立つ。ただ、独り相撲に陥り「橋下劇場」が不発に終わることへの警戒感や、大阪限定の問題だとして静観する空気もあり、内実は一体感を欠いている。

 「自民党、民主党、共産党は都構想に反対していたわけだから、僕の首を取ればいいじゃないか。対立候補を立ててつぶしてくれたらいい」

 橋下氏は2月3日、大阪市内の記者会見で、いつものけんか腰の口調でまくしたてた。「対抗馬を立てないということは、僕が(特別区の区割り案を)1案に絞って設計図を作ることを了解したのと同じだ。1案に絞った議論を進めていく」とも語り、他党が反対する4つの区割り案の絞り込みを進める考えを強調した。

 これを受け、維新の松野頼久国会議員団幹事長は3日、記者団に「よく覚悟を決めた」と絶賛。国対役員会では「われわれ自身の戦いだ」(小沢鋭仁(さきひと)国対委員長)として、全面支援を主張する意見が目立った。

 背景には、維新が「一丁目一番地」に掲げる都構想が頓挫すれば、党勢回復は事実上不可能となり、解体危機に直面しかねないという事情がある。維新は石原慎太郎共同代表との双頭体制をとっているとはいえ、橋下氏の個性や求心力でもっている側面は強い。

 ただ、無投票やそれに近い形での選挙になった場合、「橋下氏の独り相撲」「税金の無駄遣い」との批判を浴びかねない。橋下氏がことさら他党を挑発し、対立候補の擁立を求めたのはこのためで、焦りの裏返しともいえる。党内には大阪市長選に大義があるのかどうかについて、世論の風向きを見極めたいとの思いもあり、「要請があれば応援にいく」(中堅)と及び腰の議員は少なくない。

 一方、政府・自民党では、今後の国会運営などでの維新との連携を見据え、橋下氏らを刺激する独自候補擁立は得策ではないとの見方が強まっている。党内には「橋下氏に独り相撲をやってもらう」「橋下氏のやり方は邪道だ。自分で対立候補を擁立したら良い」などの批判がくすぶるが、橋下氏との主戦論は鳴りを潜めている。

 安倍晋三首相が「責任野党」と政策協議を行う考えを明言し、集団的自衛権の行使容認や教育改革などの分野で維新との連携を模索していることが影響しているようだ。自民党幹部は独自候補見送りについて、「各種政策協議を維新と進める上で効果がある」と語る。

 もっとも、突然の出直し選とあって、党内に「タマ(候補者)がいない」(選対関係者)という事情も大きい。橋下氏の対抗馬擁立を求める“挑発”にも乗らず、党大阪府連は独自候補の擁立を見送る方針を決めた。(SANKEI EXPRESS

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