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逃走男、47時間ぶり横浜で逮捕

ニュースカテゴリ:EX CONTENTSの社会

逃走男、47時間ぶり横浜で逮捕

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杉本祐太容疑者の逃走事件の経過=2014年1月7日~9日  横浜地検川崎支部(川崎市川崎区)で川崎市多摩区の無職、杉本裕太容疑者(20)=強盗や集団強姦(ごうかん)などの容疑で逮捕=が逃走した事件で、神奈川県警は1月9日、逃走現場から約20キロ離れた横浜市泉区で約47時間ぶりに見つけ、同じ容疑で改めて逮捕した。県警は携帯電話の位置情報から居場所を特定した。県警は友人が逃走を手助けしたとみており、逃走の足取りを調べる。

 県警によると、杉本容疑者は逮捕時、「もう逃げません。疲れました」と話したという。

 県警は杉本容疑者が(1月)7日午後に逃走後、友人ら20人以上から事情を聴くなど交友関係を中心に捜査。その結果、杉本容疑者が友人の携帯電話を所持していることを8日夜に突き止めた。

 9日未明には、川崎市内に住む友人2人がワゴン車で横浜市泉区方面に向かったことをつかみ、杉本容疑者が持つ携帯電話の位置情報も参考に泉、瀬谷両署員を総動員して周辺を捜索。9日午後0時47分、泉区和泉町の雑木林内にある小川の脇で、灰色のジャンパーを着た杉本容疑者が立っているのを警察官が発見した。

 杉本容疑者は警察官に名前を呼ばれた後、川の中を20メートルほど上流に向かい走って逃げたが、前方から来た別の警察官2人と挟み撃ちされる形となり、身柄を確保された。署員が「杉本だな」と尋ねると無言でうなずいたという。その後、集まった大勢の警察官に囲まれてパトカーに乗り込み、約20キロ離れた地検川崎支部に移送された。

 杉本容疑者の逃走後、県警は捜索のために延べ1万人以上の警察官を投入。約100件に上った目撃情報や防犯カメラの画像の分析などを通じて杉本容疑者の足取りを捜査してきた。

 杉本容疑者は(1月)2日、川崎市内の路上で女性会社員(21)を車に押し込み暴行、現金を奪った容疑で6日に逮捕。(1月)7日の送検後、川崎支部6階で弁護士との接見中に腰縄を自ら外して逃走した。

 ≪決め手は携帯の電波、親友2人が手助けか≫

 身柄確保まで丸2日間を要した今回の逃走事件。県警は、杉本容疑者が友人宅を転々としているのではないかとの見方を強め、最初の逮捕時に押収した杉本容疑者の携帯電話のデータなどから交友関係を割り出し、友人約20人から事情聴取。その中で「付き合いが濃い」(県警幹部)という中学時代の親友2人が浮上した。

 9日未明、この親友らが横浜市西部の泉区方面にワゴン車で向かったとの情報をキャッチ。8日夜には杉本容疑者が友人名義の携帯電話を所持していることも判明していたため、携帯電話が発する微弱電波による位置情報からも居場所を泉区近辺と特定し、重点的に捜索する中で杉本容疑者を発見した。逮捕時の所持品は携帯電話以外には、たばこ1箱、ライター2個だけだった。

 杉本容疑者は川崎市多摩区で育った。中学校の同級生の男子学生(20)らによると、「サッカーがうまく、足も速くて運動会の徒競走ではいつも上位。明るい性格で常に友人に囲まれていた」という。

 一方で、杉本容疑者の自宅近くに住む主婦は、「中学生のころには髪の色を染めていた。家の窓ガラスを割られ、注意すると怒鳴られた。この辺りでは有名な不良だった」と振り返る。

 杉本容疑者は中学卒業後、神奈川県内の県立高校に進学したが、ほとんど学校に行かず退学。1年ほど前には娘が生まれ、その時期と前後して妻と結婚したが、その後は杉本容疑者の家庭内暴力が原因で別居していたとみられる。「妊娠が分かったころから手を上げるようになった」。妻は周囲に、こう漏らしていたという。

 職を転々とし、1年半ほど前まで地元のパチンコ店に勤務。近くの別のパチンコ店には不定期で客として訪れていた。この店の関係者は「羽振りがよく、自分の金で後輩を遊ばせていた。最初の逮捕前も店の前で歩いていたのを見たが、まさかこんなことをする男だったとは…」と話した。

 杉本容疑者は勾留手続きを終える前に逃げ出したため刑法の逃走罪は適用されないが、逃走の事実は裁判で不利に働く可能性が高く、逃走の“代償”は負うことになりそうだ。(SANKEI EXPRESS

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