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マスクをつけて歌うのは大変 ミュージカル「オペラ座の怪人~ケン・ヒル版」 ピーター・ストレイカーさんインタビュー
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ミュージカル「オペラ座の怪人~ケン・ヒル版」に主演するピーター・ストレイカーさん(寺河内美奈撮影) ミュージカル「オペラ座の怪人~ケン・ヒル版」が9年ぶりの日本公演を行っている。原作のガストン・ルルーの小説は、さまざまなバージョンでミュージカル化されているが、1976年初演のケン・ヒル版が先駆け。今回は84年のロンドン公演以来、怪人を演じているピーター・ストレイカーが来日。ビゼーやモーツァルトなどオペラの名曲にのせ、愛の悲劇を迫力ある歌声で描き出す実力派が、作品について語った。
ケン・ヒル(1937~95年)は英国出身の演出・脚本・作詞家。「オペラ座の怪人」は原作小説に忠実に脚色し、そこに「ファウスト」「真珠採り」「ドン・ジョバンニ」などオペラの楽曲を盛り込み演出した。「オペラ座の怪人」は映画化され劇団四季が上演しているアンドリュー・ロイド=ウェバー作曲版が有名だが、ロイド=ウェバー版は、このケン・ヒル版に刺激を受けて創作されたという。まさに“元祖”の作品だ。
ロックやシャンソンなど多彩な音楽のミュージカルに出演してきたストレイカーにも、この作品は手ごわかったという。
「誰もが聞いたことがあるような曲に、歌詞をつけ物語に組み合わせているのが特徴。俳優になりたくてこの世界に入ったので、オペラ歌手ではない私は自分に引き寄せるように歌っています。ロックと同様、オペラは人生の実寸より大きな表現を教えてくれた。ただ、マスクをつけて歌うのは大変なんですよ」と話す。
物語の舞台は、「幽霊が住んでいる」と噂されているパリのオペラ座。新支配人が着任するが、幽霊には無頓着。そんな中、公演中に事故が起きる。主演に抜擢されたクリスティーヌは、“謎の男”との不思議な体験を語り…。
「舞台美術も19世紀の雰囲気を醸し出していて美しい。シンプルでいて、ドラマ性を大事にした脚本。ちりばめられたユーモアも魅力です」
オペラの楽曲で小説が原作というと、重苦しいイメージだが、脇役の支配人、プリマドンナのカルロッタなど登場人物もユニークで個性豊かだ。
「登場人物は、それぞれに問題を抱えていて、みんなとても人間らしい。キャラクターの誰かに、お客さまの琴線に触れるものがあると思う。音楽を楽しみ、人物や作品世界にも共感できるまさにエンターテインメントな舞台です」と自信をもって話している。(文:舞台評論家 田窪桜子(おうこ)/撮影:寺河内美奈/SANKEI EXPRESS)
2013年12月29日まで、東京国際フォーラム ホールC。キョードー東京(電)0570・550・799