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【鎌倉海びより】夕空晴れてカメラの列

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【鎌倉海びより】夕空晴れてカメラの列

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 師走の風が今年は常にも増して冷たい。それでも鎌倉の海岸には、休日になるとけっこう人が出てくる。マリーンスポーツの愛好家だけでなく、夕日を撮りにくる人の姿も目立つ。

 夏の間は内陸側に沈む太陽が、この季節になるとぐっと海寄りに傾く。空気も澄んで視界が広い。海上の遙かかなたに伊豆半島が張り出しているので、実は鎌倉の海岸からは、どんなに撮影スポットを工夫しても夕日が海に沈むことはない。とはいえ、恋人よ、あまり厳密なことはいわないようにしよう。大切なのは気分である。

 この秋には伝説のサーフィン大会が24年ぶりに開催され、大いに話題になった稲村ケ崎は、日本のサーファーたちの聖地であると同時に、夕日スポットとして有名だ。岬に突きだした海浜公園には、午後4時を回った頃から沢山の人が集まってくる。機材がぎっしり詰まったカメラバッグと三脚を担いでやってくる本格派から、スマホでパチリのカップルまで、カメラ人口も多様ですね。

 公園の西の海岸沿いには「関東の富士見百景」の石碑。富士山、江ノ島、夕日の豪華トリオは、多少絵はがき的構図であるとはいえ、撮りっぱぐれがないというか、誰が撮ってもそこそこの写真にはなる。

 そう言われると逆に、へそ曲がりのおじさんなどは、富士山も江ノ島もない南の海と空を狙いたくなってくる=写真。

 ん?よく見るとこちらにも、撮影部隊がけっこういました。日が沈んでもまだ明るさの残る空の色が、刻々と変化を続ける。これを見逃す手はないぞ。

 鎌倉は今年、世界遺産登録を果たせず、失意の1年となったが、夕映えの海を見ていると、そんな気分もどこか、すっと晴れてくるようだ。(編集委員 宮田一雄/SANKEI EXPRESS

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