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「長寿村」移住者続々 外国人が2割 エクアドル・ビルカバンバ

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「長寿村」移住者続々 外国人が2割 エクアドル・ビルカバンバ

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 【世界人間模様】

 南米エクアドル南部の山間部に世界三大長寿地域の一つとされる村、ビルカバンバがある。かつては100歳以上の高齢者が多数いたというが、欧米の影響で食生活が変わり、「長寿村」との評価は下がりつつある。一方で、年中温暖な気候に魅せられて移住する欧米人は増え続け、村の人口の2割近くが外国人だ。

 「周りは100歳以上の人だらけだった。120歳や130歳の人も多かった」。公園のベンチに腰掛けていた自称99歳のノエ・アルミホさんが教えてくれた。「私なんかまだまだ子供だよ」

 「山の中だから、昔は塩が少なかったんだ」。手作りのチーズには塩を入れず、野菜をたくさん食べていたが、1980年代に道路が舗装されて以降、欧米の影響が入り、パンや肉の摂取量が増えた。「昔はよく歩いた。農作業で登ったり下ったり」。今は車が増え、歩く機会も減った。

 温暖気候だが根拠は「?」

 赤道直下だが標高約1500メートルのアンデス山中にあり、年間を通じて温度が変わらず、寒すぎず、暑すぎない。村は歩いて回って20分もかからない小ささだ。清流や緑豊かな風景は目に優しい。

 55年に米誌リーダーズ・ダイジェストが心臓病と骨粗鬆症(こつそしょうしょう)患者が少ないと報道。日本を含む世界各国の医師が調査した結果、他の地域に比べて長生きの人が多いことは確認されたが、ミネラルと酸素が豊富な水や、脂肪と塩分の少ない食事の影響があるというだけで、科学的根拠は明確になっていない。

 地元医師は「かつては出生登録が不要で年齢はあくまで自称。実年齢は本人も知らない」と指摘する。アルミホさんは「身分証明書では1926年10月生まれだ」。それなら87歳だが「どうやって誕生日を決めたのか覚えていないなあ」。

 「何もないが悩みもない」

 長寿村を見ようと訪れて気に入り、移住する欧米人が増え続けている。地元観光協会によると、人口約4800人の村に外国人が約900人。反米政権下でも移住制限はなく、不動産屋の看板や広告は多くが英語だ。欧米人経営の食堂や安宿が目立ち、自然志向の外国人向けに有機野菜やグルテンなしのパンを売る店も登場。観光は登山や乗馬ぐらいで日本の旅行ガイドにはほとんど載っておらず、アジア系の姿は見かけない。

 10年前からホテル経営するフランス人のニコラ・リュアルさん(45)によると、アジアやハワイにいた欧米人が東京電力福島第1原発事故後、影響を心配して移住、外国人が一層増えたという。リュアルさんは「村には何もないが悩みもない。幸せな生活だ」と言い切った。(共同/SANKEI EXPRESS

 ■世界三大長寿地域 パキスタン北部フンザ、旧ソ連カフカス地方、エクアドル南部ビルカバンバの3地域で長生きの人が多いとの「伝説」がある。カフカスはケフィアと呼ばれる乳製品で有名。フンザではアンズをよく食べ、イスラム教国ながら桑の実で造った酒をたしなむ地域として知られる。粗食で一致しているが気候に共通点はなく、長寿の科学的根拠は見つかっていない。100歳を超えると自称する人が多いだけで統計の曖昧さも指摘され、懐疑的な声が強い。(共同)

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