SankeiBiz for mobile

EV炎上事故 破竹成長に暗雲 米テスラ、10月以降3件目

ニュースカテゴリ:EX CONTENTSの国際

EV炎上事故 破竹成長に暗雲 米テスラ、10月以降3件目

更新

 米ベンチャーの旗手として脚光を浴びてきた電気自動車(EV)メーカー、テスラ・モーターズの高級セダン「モデルS」が、10月以降に3件の炎上事故を起こした。原因はわかっていないが、EVの心臓部であるバッテリーに問題がある可能性も浮上。米株式市場では、破竹の勢いで上昇してきた株価が急落している。グーグルやアップルのような急成長を遂げると期待されていたテスラの未来に暗雲が垂れ込めると同時に、次世代エコカーの主役といわれるEVの安全性にも不安が広がりかねない。

 ■保護板が破損

 この6週間で3件目となる事故が起きたのは、6日午後のこと。テネシー州の高速道路でモデルSが前を走っていたトレーラーに衝突し炎上した。運転手にけがはなかったが、前部はほとんどが焼けただれた。

 ハイウエー・パトロールや米道路交通安全局(NHTSA)によると、前部に搭載したリチウムイオンバッテリー(電池)を保護するため、頑丈な鉄板を備えているが、トレーラー後部の牽引(けんいん)用バーが鉄板を突き破り、バッテリーが破損して発火したとみられている。

 「何が起きたかを詳しく調べるため、わが社の調査チームがテネシー州に向かっており、今後、さらなる情報が提供できるだろう」

 事故を受け、テスラの広報担当エリザベス・ジャービス・シェアン氏は声明を出し、早急に原因を究明する考えを示した。

 10月1日にワシントン州シアトル近郊で最初に起きた事故でも、モデルSが前を走るトラックの荷台から落下した鉄塊に乗り上げ、鉄板が破損し炎上した。2件目は10月後半にメキシコで起きており、米当局は詳細を把握していないという。

 ■株価は28%下落

 2003年に設立されたテスラのイーロン・マスクCEO(42)は、国際宇宙ステーションへの宇宙船ドッキングを民間企業として初めて成功させたスペースX社の創業者としても知られる名うての起業家だ。

 テスラは08年に小型リチウムイオン電池をパックにして動力源とするEVシステムを搭載したスポーツカー「ロードスター」を発売。10年にトヨタ自動車と資本・業務提携した。

 昨年6月に売り出したモデルSの販売も世界的に好調で、今月5日に発表した13年7~9月期決算では売上高が前年同期比約8.6倍の4億3134万ドル(約425億円)に達した。株価もうなぎ上りで、9月30日には193.37ドルを付け、約10カ月で何と470倍に跳ね上がった。

 しかし、1件目の炎上事故の発生以降、下落に転じる。3件目の事故が明らかになった7日のニューヨーク株式市場では前日比8%も下げ、この間の下落率は28%に達した。

 今後の焦点は、発火原因が独自のバッテリーシステムの構造的な問題なのかどうかだ。

 「EVの火災発生リスクについて言うなら、ガソリンで走る一般的な自動車より安全だ」。マスク氏は、1件目の事故発生直後にブログで、安全性を強調した。

 ただ、テスラは7~9月期決算で4000万ドルの赤字を計上するなど利益は出ておらず、株価上昇が期待先行だっただけに、多くのアナリストが「先行きに問題を抱え込んだ」という見方で一致している。

ランキング