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「金環」と「皆既」 同時日食 神秘の光 雲間にのぞく
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北大西洋からアフリカにかけて11月3日、「金環日食」と「皆既日食」が一度の日食で観測される珍しい天体ショーが起きた。
日食は太陽、月、地球が一直線上に並んだときに太陽が月に隠れてみえる天体現象。今回の日食では、月に中心部を隠された太陽がリング状に輝く「金環日食」が北大西洋で現われ、太陽が月にすっぽりと隠れる「皆既日食」が赤道に近いアフリカ中部のガボンやコンゴ(旧ザイール)、ウガンダ、ケニアなどでみられた。
ケニア北部トゥルカナ湖東側のシビロイ国立公園では、太陽全体が月に隠れて「黒い太陽」となった瞬間、集まった数百人が大きな歓声を上げた。
シビロイ国立公園では3日午後に日食が始まったころから厚い雲がたれ込めてきたが、皆既日食の時間が近づくと雲の隙間から月に覆われた太陽の様子が見えた。
ケニア人運転手のフセイン・ハッサンさん(39)は「空が真っ暗になってびっくりした」と興奮した様子。家族で訪れたナイロビ在住の中学1年生、蔦田武児君(13)は「見られて感動しました」と喜んでいた。
次回の金環皆既日食は、2023年4月にインド洋から太平洋にかけて起きる。
≪ダンス、大歓声…「黒い太陽」に夢中≫
ケニア西部のオロイデン湖で、多重露出によって撮影された皆既日食の連続写真。オロイデン湖はナイバシャ湖に隣接する小さな湖だが、湖畔一帯がピンクでそまるほど圧倒的な数のフラミンゴが生息していることで知られる。一帯はキリンやカバなど野生動物の撮影ポイントになっており、日本からの観光ツアーにも組み込まれている。
皆既日食が観測されたシビロイ国立公園はケニア北部のトゥルカナ湖東岸にあり、世界遺産に指定されている野生動物の宝庫だ。水鳥の大規模な繁殖地で、ナイルワニやカバなども生息する。数百年間の人類の化石がみつかる人類発祥の舞台でもある。この日は湖畔に住む人々もサングラスをかけ、ダンスを踊りながら「黒い太陽」を眺めた。
ケニアの首都ナイロビで、盛り土の上に腰を下ろし、黒いフィルム越しに欠けていく太陽に歓声をあげる子供たち。ケニアは東アフリカの玄関口として地域経済を先導しているが、都市化による貧困層の拡大や若者の失業問題が深刻になってきている。ナイロビでは、路上生活を送るストリートチルドレンは15万人に上るとされる。
今回の日食は北大西洋からアフリカまでの広い地域で日食が観測された。部分日食は米東海岸のニューヨークから南欧のスペイン、イタリア、ギリシャ、中東のヨルダンやイラクでもみることができた。ヨルダンの首都アンマンでは、スカーフをまとった女性たちが、おそろいの観測キットで欠けていく太陽の姿を見つめていた
ウガンダでは、ヨウェリ・カグタ・ムセベニ大統領(69)も北部パクワッチにある小学校に陣取り、サングラス越しに世紀の天体ショーを楽しんだ。皆既日食が観測されたパクワッチは、首都カンパラから自動車で6時間かかる西ナイル川沿いの町。コンゴや南スーダンとの国境にも近く、古くから貿易や交通の要衝となってきた。(EX編集部/撮影:ロイター、AP/SANKEI EXPRESS)