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「今年の楽天は違う」 球場前の「桃山食堂」から応援 店主、後藤礼司さん

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「今年の楽天は違う」 球場前の「桃山食堂」から応援 店主、後藤礼司さん

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 東北では初の開催となるプロ野球日本一を決めるコナミ日本シリーズ2013が10月26日、仙台市の日本製紙クリネックススタジアム宮城で開幕した。球団創設9年目で初出場のパ・リーグ覇者の楽天と、連覇を狙うセ・リーグ優勝の巨人が対戦。初戦は、2-0で巨人が先勝した。

 東北初「感慨深い」

 「日本一を東北に」。楽天の本拠地は、地元球団の晴れ舞台に駆けつけたファンでほぼ埋め尽くされ、熱狂の渦に包まれた。チケットを入手できなかったファンも球場外に設置されたテレビに群がった。

 そのKスタ宮城の前には、球場ができる前から同じ場所で店を構える食堂がある。かつて拠点を置いたロッテとのかかわりも深い「桃山食堂」店主の後藤礼司さん(82)は、東北で初となる日本シリーズ開催を「感慨深い」と喜ぶ。

 店の壁には所狭しと選手のサインやポスターが貼られ、楽天の試合前には18席が全て埋まってしまう。すっかり楽天ファンに親しまれる食堂となった。

 開店したのは1949(昭和24)年4月。現在の名称に変更する前の県営宮城球場が誕生する1年ほど前のことだ。73年にロッテが東京都荒川区の東京スタジアムから宮城球場に拠点を移すと、球場には観客が殺到。後藤さんは「入場券を買うため徹夜で列に並ぶ客からも出前の注文が相次ぎ、本当に忙しかった」と懐かしむ。

 当時ロッテの監督だった金田正一さん(80)も食堂の常連で、試合前は必ず店で食事をして球場に向かっていたという。

 ロッテは74年に日本シリーズ進出を果たしたものの、主催試合は本拠地の宮城球場ではなく収容人数の多い東京の後楽園球場で行われた。78年にロッテが本拠地を移し離れてからは、次第にプロ野球ファンも少なくなっていったという。

 選手らも来店

 楽天の球団創設で2004年、宮城球場に再びプロ野球チームが拠点を置くことが決まった。初年度の05年、楽天の成績はパ・リーグ最下位。「とてもうれしく、期待が膨らんだが、まるで高校野球のような寄せ集めのチームだった」

 しかし、楽天の選手らが年々、成長し力をつけていくのと足並みを合わせるように、店にも楽天ファンの姿が増えていった。選手も店を訪れるようになり、一昨年には牧田明久選手(31)や鉄平選手(30)らがシーズンオフ中に来店。星野仙一監督(66)も2、3度訪れたという。

 球団設立当初は球場で試合を観戦することがなかった後藤さんも、日本シリーズ進出を決めた試合は「Kスタのスタンドで観戦し、喜んだ」という。

 「今年の楽天は違うね。苦しい展開になってもあきらめずに最後まで戦う。優勝して、被災地に勇気を与えてほしいね」

 夜も店を開けているためスタンドでの観戦はかなわないが、今夜も球場から聞こえてくる歓声に耳を澄ませながら、店内から楽天の勝利を願っている。(安藤歩美、写真も/SANKEI EXPRESS

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