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金持ち増税 仏サッカー界蹴る 75%課税案に抗議、リーグ全戦中止

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金持ち増税 仏サッカー界蹴る 75%課税案に抗議、リーグ全戦中止

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 サッカーのフランス1部リーグ(リーグ・アン)のチームなどで構成するプロクラブ連合(UCPF)は10月24日、オランド政権による最高所得税率を75%とする課税強化策に抗議するため、11月下旬から12月上旬のリーグ戦全試合を中止すると発表した。フランスでは、昨年5月に誕生した左派のオランド政権による富裕層への課税強化方針に反対し、有名俳優のジェラール・ドパルデューさん(64)がロシアに亡命したり、モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン会長のベルナール・アルノー氏(64)がベルギー国籍を取得した例がある。サッカー界も75%の衝撃に反旗を翻した格好だ。

 選手120人が該当

 フランスでプロサッカーの「スト」は、1972年以来41年ぶりとなる。フランス通信(AFP)などによると、UCPFのジャンピエール・ロベール会長(62)は24日、パリで記者会見し、「私たちは歴史的な抗議活動にかかわることになり、試合のない11月最後の週末を迎えることで、サッカーを守るための決意を示す。サッカークラブを課税強化対象から外すよう政府に要請したが、例外とは認められないと明言された」と語った。中止されるのは11月29日~12月2日に予定される1、2部リーグの全試合という。

 国会で審議中の法案では、年間所得の100万ユーロ(約1億3400万円)を超える部分に対し75%を課税、雇用主に支払い義務を課す。現在これに該当する選手は約120人で、導入されればクラブ側の負担増は合計約4400万ユーロ(約59億円)と試算されている。

 国民の85%不支持

 個人所得税の最高税率を75%とする法律は、違憲審査機関の憲法会議で違憲とされたが、政府は、給与所得者の場合は支払い義務を雇用主に課すなどの修正を加え法案を再提出。(10月)18日に国民議会(下院)を通過した。上院も左派が多数を占めている。

 フランス公共ラジオによると、フランソワ・オランド大統領(59)は31日、UCPFの代表者との会合で理解を求めるという。しかし、ロベール会長は「このままでは、有力選手の国外流出を招き、クラブ経営を圧迫する。選手に同じ手取額を保証するのにクラブ側は諸外国に比べて3倍近く負担増となる。リーグ全体の競争力が低下することが懸念される」として、妥協しない姿勢を示している。

 フランスは現在、国内の景気回復と雇用対策に苦しんでおり、政権与党の政治家たちは、サッカー選手の高額年俸に対し、非難の声を上げている。最近では、ジェローム・カユザック元予算担当相(61)が、現在フランスリーグ一の高給取りとされるパリ・サンジェルマンのズラタン・イブラヒモビッチ選手(32)=スウェーデン代表=をやり玉に挙げ、民放ラジオで「世界中が直面している経済危機を乗り越える努力を重ねているこの時期に、あの年俸(1300万ユーロ=約17億5000万円)は驚きというよりは下品だ」と語り、波紋を呼んだ。

 また、耐乏生活を強いられている国民が「スト」に抱く思いも批判的で、24日に民間の調査機関がとったアンケートでは、約85%がストを「支持しない」と答えたという。(SANKEI EXPRESS

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