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習主席 父の威光で基盤固め 書籍、切手…仲勲氏礼賛キャンペーン
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中国の習近平(しゅう・きんぺい)国家主席(60)の父親、習仲勲(しゅう・ちゅうくん)元副首相(1913~2002年、元共産党政治局員)の生誕100年を迎えたのを機に、中国で異例の「仲勲氏礼賛キャンペーン」が展開されている。書籍の発刊、ドキュメンタリー番組の放映、記念切手の発行…などが行われ、地方各地でも記念行事が相次ぎ、仲勲氏の功績をたたえる動きが広がっている。元政治局員クラスの生誕記念行事としては前例がないキャンペーンの背景には、中国歴代指導者の中で権力基盤が「最弱」といわれる習近平氏の求心力と権威を高める狙いがにじむ。
中国では8月に上下計1280ページ超に上る「習仲勲伝」(中央文献出版社)が出版され、仲勲氏を礼賛するキャンペーンがスタートした。習仲勲伝では、仲勲氏が88歳の米寿を迎えた際に福建省長だった近平氏が父に送った手紙が紹介され、近平氏は「(文化大革命時に仲勲氏が迫害されて)社会でわれわれが『子犬』と呼ばれた時代、私は、父は大英雄であり、最も誇りに値する父親であると固く信じていた」と綴っている。本の中では習一家の絆の深さが描かれ、革命の原点に連なる仲勲氏を礼賛することで近平氏の権威付けを図ろうとする意図が見て取れる。
国営中央テレビは10月14日から3日連続でドキュメンタリー「習仲勲」が放映され、16日には国民の人気が高い温家宝前首相(71)が登場。温氏は仲勲氏の下で働いたときのことを振り返り、「仲勲同志の一生は平たんではなかったが、物事を正直に話し、公正でおおらかだった」と称賛した。
また、中国共産党元高級幹部の子弟で構成される太子党のメンバーたちの動きも活発だ。太子党は、重要メンバーだった薄煕来・元重慶市党委書記(64)が失脚した事を受け、一時、鳴りを潜めていたが、仲勲氏生誕100周年を記念して15日に北京で開かれた座談会には近平氏はもとより毛沢東元主席の娘・李敏氏ら主だったメンバーが勢ぞろい。さらに18日には「毛沢東主席生誕120年記念」と称して総決起大会ともいえる集会を開き、集まった約300人のメンバーは「みんなで力を合わせて習総書記を支えよう」などと連呼し、熱烈な拍手がわき起こったという。
毛元主席は文革期は仲勲氏の“敵”だった。近平氏には毛氏の威信をも借りて、なりふりかまわず権力基盤を固める狙いがあった。(SANKEI EXPRESS)