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ベルギー 消防士ストライキ 「給料上げろ」 怒りと泡の集中砲火

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ベルギー 消防士ストライキ 「給料上げろ」 怒りと泡の集中砲火

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 ベルギーの首都ブリュッセルの中心部で、積み上げられたタイヤに火を付けたのはなんと現役の消防士たち。国会で来年の予算における賃上げ要求が認められなかったことなどから、労働条件全般の改善を訴えて10月7日、国会議事堂近くの道路を封鎖して派手で危険な抗議活動を繰り広げた。

 それにしてもやることが大胆すぎる。消火活動を行う立場にあるのに、この日はあろうことか放火活動で抗議。あたりには黒い煙とタイヤの燃える独特のにおいが立ちこめた。

 日本でも面白いことをしようと寝ている部下の服にライターで火を付けたり、自転車の荷台に火を付けるなど放火に走る消防士はいたが、抗議とはいえ組織的に火を付けるケースは見たことがない。

 ブリュッセルの消防士たちの抗議活動はさらにエスカレート。消防車などを使って警官隊に泡や水を浴びせかけ、警官隊は泡まみれやびしょ濡れになりながら警戒にあたった。普段は協力して火事現場の鎮静にあたっている警察官もやるかたなしといった様子だった。

 ≪放火、大噴射… 危険な抗議≫

 ブリュッセルでは5月半ば、ブリュッセル国際空港で荷物の仕分けや搬送を請け負う会社のスタッフらによるストライキが長期化。

 空港の手荷物受取所の周辺にスーツケースなど約2万個が積み上げられる光景が見られたばかりだ。こちらは人員削減に抗議してのことだそうだ。

 意外なことだが、ベルギーではストライキが頻繁に起こる。2012年1月には、厳しい緊縮財政と社会保障費削減を受けて、主要な労働組合の主導で24時間ゼネストが行われた。このときは公共交通が停止し、義務教育機関と大学は休校。ラジオ局やテレビ局も放送枠を大幅に削減し、新聞も休刊となった。政府機関は停止し、ショッピングセンターの多くは営業停止となるなど市民生活に重大な影響を及ぼしたという。

 米国でも、財政問題をめぐる与野党間の対立から暫定予算が成立せず、ストライキではないものの政府機関の一部が今月(10月)1日から16日間閉鎖。約50万人の政府職員が一時帰休を命じられた。与野党の歩み寄りによって10月17日未明に閉鎖は解除されたが、この間住宅ローン審査の遅れや中小企業向けの融資の縮小、アフガン戦死者遺族への弔慰金の支払い停止など、こちらも市民生活に重大な影響を及ぼした。米国で政府機関の業務が完全に正常化するにはまだ時間がかかりそうだ。(EX編集部/撮影:ロイター、AP/SANKEI EXPRESS

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