SankeiBiz for mobile

学食で手軽に有名ホテルの味

ニュースカテゴリ:EX CONTENTSのトレンド

学食で手軽に有名ホテルの味

更新

 学内の食堂に工夫を凝らす大学が増えている。質素だが安くてボリュームがあるといった昔のイメージを一新。有名ホテルの本格的な味を手軽に楽しめたり、健康に配慮した定食で栄養管理を学べたりと幅広い。一般の人々にも評判で、大学のブランドイメージの向上につながっている。

 交流のシンボル

 静かなBGMが流れる地上8階のレストラン。全面ガラス張りの窓からは東京スカイツリーが望める。東京都豊島区の大正大のキャンパスに今春オープンした「カフェ&ダイニング 鴨台食堂」は、プリンスホテルが運営を受託している。

 洋食を中心とした1000円前後のランチやスイーツのほか、夜は高級ワインや本格的なコース料理を楽しめる。土日は家族向けのバイキングが盛況。もちろん学生限定の割安なランチも人気だ。ホテルの一流コックが腕を振るう本格的な洋食が手ごろな価格で堪能できるとあって、利用客の6割は大学関係者以外という。

 大学の担当者は「周辺の巣鴨はとげぬき地蔵もあってお年寄りらに人気の場所。一般にも食堂を開放することで、訪れる人々や近隣商店街、地域住民と交流するシンボルとしての役割を期待している」と説明する。

 初めて大学でレストラン運営を受託したプリンスホテルの担当者も「特性を生かした集客が可能で、新規事業として魅力を感じている」と話す。

 バランス良く

 管理栄養士など「食と健康の専門家」を養成する女子栄養大は、食堂での食事で栄養管理を学習できるようにしている。

 約800人の学生が通う駒込キャンパス(豊島区)の食堂「駒込カフェテリア」。9月18日のA定食は、チキン南蛮に糸こんにゃくとレンコンのきんぴらがメーンのおかずだった。これに貧血予防に効果的な葉酸米を混ぜた胚芽米ご飯と、トマトと卵のスープが付いて420円だ。

 食堂では、メニューの調理に使う全材料の栄養素やカロリーが分かる一覧表を表示。食品を4種類の栄養群に分類し、バランス良く栄養が取れるよう工夫した「4群点数法」を取り入れている。

 1人暮らしをしている1年生の長谷川かれんさん(18)は「食堂に弁当を持ち込み、不足する栄養素を補う副菜だけを頼むこともある」。

 大学の食堂は外部の専門業者に委託するケースが多いが、ここでは管理栄養士の資格を持つ職員らが直接調理している。

 食堂を取り仕切る管理栄養士の田中美和子さんは「学生に食事を通じて健康を考える習慣をつくってもらうのが狙い」と強調する。卒業時には在学中に出された全ての献立のレシピを載せた冊子が贈られる。

 健康的な食事ができると学外からも多くの人が食堂に詰め掛けたため、昨年5月には一般向けの開放を休止。メニューを紹介したレシピ本や、イオンと共同開発した健康配慮の弁当も売り出される人気ぶりだ。(SANKEI EXPRESS

ランキング