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ラグジュアリーの中にも遊び心を忘れない エス・テー・デュポン

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ラグジュアリーの中にも遊び心を忘れない エス・テー・デュポン

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 【Brand Story】

 ≪時代を超えて愛される銘柄に≫

 高級トラベルケースのブランドとして、約140年前にフランスで誕生したブランド「S.T.DUPONT(エス・テー・デュポン)」。職人の技が光る最高級のライターや筆記具が注目を集め、いまやフランスを代表するラグジュアリーブランドへと成長した。この秋は、オリエント急行からインスピレーションを得た限定コレクション「オリエント・エクスプレス・コレクション」が登場。来日を果たしたCEO(最高経営責任者)のアラン・クルベ氏と、ルイ13世の末裔でデザイナーとしても活躍するプリンセス タニア・ド・ブルボン・パルムにブランドの魅力を聞いた。

 9月25日、東京・広尾のフランス大使公邸はかつてない熱気に包まれていた。ゲストルームは壁一面を鮮やかなロイヤルブルーで装飾し、エス・テー・デュポンの新作をお披露目。中でもひときわ人々の注目を集めていたのは、オリエント急行誕生130周年を記念して作られた「オリエント・エクスプレス・コレクション」のシリーズだ。

 シリーズを代表するのは、ゴールドを基調にデザインされた「プレステージ コレクション」。万年筆を列車の車体に見立て、ミッドナイトブルーとホワイトのラッカーやマザーオブパールで装飾し、ブルー スピネルを添えている。オリエント急行の列車模型を彷彿とさせるデザインで、ラグジュアリーの中にも遊び心を忘れていないのが印象的だ。

 たくさんのホワイトダイヤモンドを散りばめた、よりラグジュアリーな「ダイヤモンドコレクション」にも注目が集まった。万年筆には71個、セットのライターには129個ものダイヤモンドが配された。CEOのアラン氏は「電車の〝王〟と称されるオリエント急行は、長い歴史を誇るエス・テー・デュポンと共通点が多いです。またアールデコ調のオリエント急行は、無理なくデュポンに落とし込むことができました」と振り返る。

 またルイ13世の血を引き、ブルボン家直系の末裔でもある プリンセス タニアは、「オリエント急行を象徴するロイヤルブルーとゴールドの組み合わせが、このコレクションを美しく引き立てています。職人の技術を誇るからこそ、これだけ繊細なコレクションを完成させることができたのでしょう」と賞賛する。

 大切なのは職人の魂

 エス・テー・デュポンの名を世界中に広めたアイテムの一つに、デザイン性と機能性を兼ね備えたライターがある。精密なデュポンのライターと言えば、ふたを開けるときに「キーン」という独特な音が響くことで知られる。ブランドが意図して作った音ではなかったが、ファンの間では最高品質の証としてこの音が認識されるようになった。

 そんなブランドも、これまでの歩みは決して平坦なものではなかった。LVMHグループなどで成功を収めてきたクルベ氏がCEOに就任した2006年は、実は7年連続で赤字が続いている状態だったという。「このままでは生き残れない。多くの改革が必要だと感じました」

 そこでクルベ氏は、1985年ごろからスタートしたプレタポルテ(高級既製服)の事業を全廃。一方で、ライターや筆記具の事業の再生を決意した。アトリエにあった設計図を引っ張り出し、これまでの歴史を紐解きながらモダンな解釈を加えたコレクションを開発。〝新生〟エス・テー・デュポンとして発表したところ、ファンからの反響は予想以上だった。

 この後も、幅広い世代にブランドの魅力を知ってもらうため、さまざまな価格帯のアイテムを発表。ポップな色使いの内燃式ライターから、書き味抜群の万年質やボールペン、そして今回発表された究極のラグジュアリーコレクションまで、そのジャンルは幅広い。今年春には、世界で一番高いライターとしてギネス認定される予定の「Louis XIII Fleur de Parme 」(ルイ13世 フルール・ド・パルム)も発表。デザインを担当したプリンセス タニアは「職人の魂をとても大切にしているエス・テー・デュポンだからこそ、これだけ高価な素材を使ったライターを完成させることができたのだと思います。この技術を、もっと世界中の人に知ってもらいたい」と振り返る。

 レザーバッグのコレクションも

 ライターや筆記具の復活に次いで、昨年はレザーグッズのコレクションも発表。そもそもレザーアイテムのブランドとしてスタートしたデュポンのバッグは、女優のオードリー・ヘプバーン(1929~1993年)も愛した逸品だ。第一弾として登場した、オードリーからインスピレーションを受けたシリーズ「オードリーコレクション」はすぐに完売した。

 「オードリーという女優は目立ちたがり屋ではなく、とても控え目。しかしその美しさ、中身の素晴らしさは誰もが知っています。そんなオードリーとデュポンには共通するDNAがあると考えています。これからも、時代を超えて愛されるオードリーのようなブランドでありたいと思います」(クルベ氏)

 長い歴史の中で培われた技術力を元に、大胆な発想で進化を続ける老舗ブランド。これからも、斬新なコレクションで我々の目を楽しませてくれそうだ。(今泉有美子、写真も/SANKEI EXPRESS

 【ガイド】

 ■エス・テー・デュポン 銀座ブティック 東京都中央区銀座8の5の1 (電)03・3575・0460。営業時間:午前11時~午後8時(土日は午後7時まで)http://www.st-dupont.com  www.facebook.com/STDupontJapon

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