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ロンドン五輪会場は今(上) 「近未来都市」建設中、市民心待ち

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ロンドン五輪会場は今(上) 「近未来都市」建設中、市民心待ち

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複合商業施設への再開発が進むロンドン五輪のメーン会場だったオリンピックパーク=2013年、英国・首都ロンドン(ロンドン大学ゴールドスミス校、有志学生記者撮影)  【Campus新聞】

 東京が立候補している2020年夏季五輪の開催地が、(2013年)9月7日のIOC(国際オリンピック委員会)総会で決まる。世界中を熱狂させた1年前のロンドン五輪。あの会場は今、どうなっているのだろうか。華やかな大会ばかりが注目されるが、その後の会場跡地の有効活用は、五輪開催地にとって大きなテーマだ。ロンドン大学に留学中の学生記者の岡田万梨恵さん(26)と清水美里さん(23)が、現地からリポートする。

 □今週のリポーター:ロンドン大学・ゴールドスミス校 有志学生記者

 2012年ロンドン五輪は、ロンドン東部を中心に行われた。この「イーストエンド」と呼ばれる地区は、いわゆるロンドンの下町で、現在は若者やアーティストの街として発展しつつある。また、移民の住人が多く、異国情緒あふれる町として、ロンドンの中でも独特な雰囲気が漂っている場所だ。

 現在、オリンピックのメーン会場だった跡地では、「オリンピックパーク」改め「クイーンエリザベス・オリンピックパーク」という複合商業施設の建設が進められている。この施設内には、8000軒の住宅を建てることが計画されており、うち2800軒は選手村で使われていた建物を利用することになっている。

 複合商業施設が開業予定

 会場跡地では、どのように開発が進められているのかを見学できるツアーが行われており、参加してみた。

 最寄り駅「プディング・ミル・レーン」に降り立った私たちが最初に目にしたのは、まさに複合商業施設の建設工事現場だった。閑散としており、ツアー参加者と工事の作業員しかおらず、人影はまばら。足場の悪い狭い通路を抜け、プレハブの建物でツアーの受付を行い、そこから専用バスでオリンピックパークへ向かった。見学会場である「オリンピックタワー」(正式名称はアルセロール・ミッタル・オービット)に到着。タワー内は、自由に見学できる。

 タワー内は子供でも楽しめるように工夫が施されており、遊びながらロンドンオリンピックやオリンピックパークについて学べるようになっていた。また、タワーの至る所にオリンピックパークの今後の展開についての説明がある。それによると、2013年7月のパーク北部のオープンに続き、14年春にはパーク南部が開業する予定だという。

 生まれ変わる街

 新しいオリンピックパークの完成予想図は、まさに「近未来都市」だ。緑にあふれ、映画館、ショッピングセンターにスポーツ施設など、生活に必要な施設がすべてそろっている。

 タワーからも現在の開発の様子が見学できた。もっとも、現在は完成予想図にはほど遠く、五輪のメーン会場だった「オリンピックスタジアム」が残っている以外は何もない殺風景な景色が広がっていた。

 それでも、今回のツアーに参加していたロンドン市民たちの顔には、その景色の中に未来の生まれ変わった街の姿を想像し、その完成を心待ちにしている様子がうかがえた。(今週のリポーター:ロンドン大学・ゴールドスミス校 有志学生記者/SANKEI EXPRESS

 【主なロンドン五輪会場の跡地利用計画】

 ■オリンピックスタジアム(The Stadium) ロンドン五輪のメーン会場。開会式、閉会式もここで行われた。2016年夏以降、サッカープレミアリーグのウエストハム・ユナイテッドFCの本拠地となることが決まっている。

 ■ウオーター・ポロ(Water Polo) 水球競技場。解体が進められているが、跡地をスケートボードなどが楽しめる広場として開放することが検討されている。将来的にはレストランやカフェ、バーといった飲食店が並ぶ計画だ。

 ■アクアティクス・センター(Aquatics Center) 競泳競技場。観客席を解体し、規模を縮小し一般市民が利用できるプールとして開放される。

 ■コッパー・ボックス(Copper Box) ハンドボールやフェンシングなど幅広い競技で使用された。今後も、さまざまなスポーツイベントの会場として利用される予定だ。

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