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ジョニー・デップさん聖地購入宣言で物議 映画興収アップ狙いとの声も

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ジョニー・デップさん聖地購入宣言で物議 映画興収アップ狙いとの声も

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 ハリウッドを代表するスター俳優、ジョニー・デップさん(50)が、米先住民族スー族が米連邦政府軍に虐殺された地で先住民啓蒙運動の聖地としても知られる「ウーンデットニー」(サウスダコタ州)の一部を購入する意思を示し、波紋を呼んでいる。

 自身が先住民族の血を引くデップさんは「土地を購入してスー族に返還するのが目的」と話しているが、先住民の間からは「映画の興行のテコ入れが目的ではないのか。奪われた土地を金で奪還しても誇りは取り戻せない」といった声も上がり、真意をはかりかねている。

 権利拡大闘争の象徴

 デップさんはウーンデットニーの購入宣言を、英国の日曜紙「メール・オン・サンデー」によるインタビューの中で行った。ウーンデットニーは米中北部サウスダコタ州のシャノン郡にある地域(2.8平方キロ)で、約300人のスー族が定住しているパインリッジ居留地内に位置する。

 19世紀末にゴールドラッシュで先住民族の弾圧が激化する中、ウーンデットニーでは1890年12月29日、女性、子供を含む250人以上のスー族が米軍の第7騎兵連隊によって虐殺された。

 虐殺の理由は、ゴーストダンス(幽霊ダンス)と呼ばれた儀式が流行したため、「放置すれば終末的な新興宗教化し、一斉蜂起につながる危険性がある」というものだった。以降、先住民族の権利拡大闘争の象徴的な聖地になっている。

 「悲劇の風化防ぐ」

 メール・オン・サンデー(電子版)によると、デップさんは「本来なら政府が(現在の)土地所有者から買い戻してスー族に返還すべきだが、できないのなら私がやる。何かを起こし、スー族の文化を守り、悲劇の風化を防がなくてはいけない」と購入の意義を強調している。

 ウーンデットニーでは現在の地権者が、計0.32平方キロの2区画の土地を490万ドル(約4億8600万円)で売りに出しているが、買い手がつかない状態が続いている。スー族の住民は適正価格は1万4000ドル(約138万円)としており、「奪った土地で巨利を得ようとしている」と批判している。

 興行収入テコ入れ?

 デップさんは先住民族チェロキー族の血を引き、常々「先住民族の血を引くことを誇りに思って生きている」と公言。先住民族コマンチ族の女性と養子縁組をして一族の一員になり、先住民族についての啓蒙活動も続けているが、今回の土地購入宣言は必ずしも評判が良くない。

 理由の一つは、自身が先住民族役で出演している「ローン・レンジャー」(日本公開8月2日)が3日に全米公開された直後というタイミングの悪さにある。

 期待されたほどの興行収入が上がらず、赤字額が1億5000万ドル(約149億円)を超すとの予想も出ており、ウーンデットニーの住民の一人は「世間の関心を集めて興行収入を上げるために土地を購入しようとしている」とAP通信に語った。

 しかし一方で、虐殺事件の犠牲者の子孫であるブリングス・プレンティさんのように「動機や手段がどうであれ、土地が返還されるなら歓迎する」との意見もある。

 出演料は1作につき2000万ドル(約19億8400万円)が相場とされるデップさん。波紋を呼ぶ中、この件で米メディアの取材には応じず、沈黙を通している。(SANKEI EXPRESS)

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