メルセデス・ベンツ日本が新型「C200」の輸入を開始した。1982年に登場した「190クラス」をCクラスの前身だとすると、これまで40年近くの長きにわたって日本で支持されてきたことになる。高級ブランドであるメルセデスにあって、比較的コンパクトなセダンボディを基本とし、手の届きやすい価格帯であることも日本の生活に適していた。セダンだけではなくステーションワゴンもラインナップ。エンジンバリエーションも豊富。2014年にデビューした先代Cクラスは、累計で10万台以上を販売し、さらに2015年から2019年までは、このクラスで最も好調な販売を記録したというから日本に根差したといえるだろう。
新型「Sクラス」のエッセンス
当面はC200(ガソリンエンジン搭載のセダン)だけの展開であり、年末にC220d(ディーゼルエンジン搭載)がラインナップに加わる。ステーションワゴンは2022年投入の予定だ。
新型Cクラスの注目ポイントは、先立って日本投入となった新型「Sクラス」のエッセンスを積極的に取り入れていることだ。
エクステリアデザインは酷似している。全長は+80ミリも長くなり4785ミリになった。全幅は+10ミリの1820ミリに留めているが、つまり日本の狭い道にも取り回しで苦労することない幅でありながら、前後の長い堂々たる体躯を手に入れたのだ。前後の意匠や細部の筆さばきもSクラスを彷彿とさせる。
取り回しの点で有利な「リア・トランスアクスル」を採用したのもSクラス譲りである。フロントタイヤの舵角に同調して、後輪もステアするそれは、時速60キロ以下ではフロントとは逆に、最大2.5度も位相する。つまり、低速ではフォークリフトのように小さく曲がる。実際に呆気にとられるほど小回りが効く。先代が5.3メートルだった最小回転半径が5メートルまで小さくなった。感覚的にはその数字以上の小ささなのである。まさに日本の道に合っている。