大阪の新型コロナ感染者、ピークの1割以下も 若者の減少顕著と朗報もなぜ?
新型コロナウイルスの感染「第5波」で、全国的に新規感染者が急速に減少している。大阪府内でも今月1日に1日当たり3千人超のピークを迎えたが、直近は1割以下の200人台の日も。緊急事態宣言に伴う人流の抑制や、高齢者を中心としたワクチン接種率の向上など複合的な要因が指摘されているが、不可解な事象もみられる。
府によると、1日当たりの新規感染者数は、4度目の緊急事態宣言が発令された8月2日の448人から今月1日に6・7倍の3004人に急増。3004人は第4波ピーク(1260人)の2・4倍にあたる。
ただ減少も速く、11日に1263人と第5波ピークの半分以下になり、21日は245人。22日は591人だった。
第5波の減少速度は府の予測を上回る。府は、6日までの7日間の感染者数の1日平均(2179人)を起点に、第4波(3月1日~6月20日)と同じ速度で感染者が減少した場合、今月21日に千数百人規模に落ち込むと試算。しかし実際は628・4人だった。
吉村洋文知事は22日の記者会見で、感染者急減の理由について「いくつかの複合要素が重なっているのだろう」と指摘。人流の抑制やワクチン接種の効果、首都圏での医療逼迫(ひっぱく)の報道を受けて個人が対策を強化した可能性に言及した。
システム会社「アグープ」の人出データをもとにした府の分析によると、自粛要請が解除されていた3月1日~4月4日を100%とした大阪・梅田の人出は、府内全33市に蔓延(まんえん)防止等重点措置が適用された6月21日~8月1日に平均97・3%となり、難波も同様に94・6%と微減だった。
一方で、4度目の緊急事態宣言下の8月2日~9月8日は梅田が78・9%、難波は81・5%と約2割減少した。
府内のワクチン接種率をみると、今月20日時点で2回目接種を終えた65歳以上の割合は86・0%に上り、医療従事者を除く全年代でも45・2%と5割に迫る。
府が接種歴をもとに算出した全年代の人口10万人当たりの新規感染者数(8月16~29日)は、未接種者が645・0人。これに対し、2回接種後2週間以上経過した場合は21・3人と明らかな差が出ている。
ただ疑問も残る。ワクチン接種が十分に進んでいない20~30代で感染者の減少が著しいためだ。
20~30代の新規感染者数を7日間の1日平均でみると、8月26日に1104・14人とピークに達した後、40代以上の年代と比べていち早く減少が始まり、今月22日は206・57人まで減少した。40~50代のピークは今月1日の646人、60代以上は翌2日の176・29人だった。
吉村氏は「何らかのウイルス側の事情で、感染力をなくし、広がりが止まることもあり得るのだろうと推測している」と語った。