プロテインをどのように摂ればいいのか
では、一般ユーザーはプロテインをどのように摂ればいいのか。管理栄養士の牧春菜さんに、プロテインの効果的な摂取法を聞いてみた。牧さんはアスリートの栄養指導をはじめ、腸内フローラの検査アドバイザーとしても活躍中だ。
「なぜアスリートがプロテインを摂取するかと言いますと、トレーニングで筋肉細胞が傷つけられてしまうからです。それを補充するためにタンパク質を摂取します」(牧さん、以下同)
一般的にプロテインは「ホエイ」「カゼイン」「ソイ」の3種類に大別される。
「ホエイ(乳清)は牛乳由来のタンパク質で、母乳に近い栄養素を含んでいます。分岐鎖アミノ酸(BCAA)を多く含み、短時間で吸収されるため、筋肉の回復を早める効果があります。カゼインは、牛乳から脂肪とホエイを取り除いたもので、7時間から8時間かけてゆっくり吸収されるのが特長です。腹もちが良いので就寝1時間前に摂ると効果的です。睡眠中に成長ホルモンが分泌されますが、実はこのホルモンはタンパク質が主成分なのです。寝ている間にタンパク質が枯渇してしまうため、それを補う効果もあります」
そして、ソイ(大豆)は、大豆に含まれるイソフラボンが骨や皮膚の形成を促すため、美肌などの美容目的で摂取する人が多いという。
「商品に表示されている摂取量を必ず守ってほしいです。というのも、タンパク質は体が1度に吸収する量が多くても40gと言われています。それ以上摂ると脂肪過多になり、場合によっては胃腸を壊してしまうこともあります。私はアスリートのサポートをしていますが、プロテインを過剰に摂った結果、肝臓にダメージを抱えてしまった選手も少なくありません」
プロテインは、あくまでも補助食品。食事代わりにしないでほしいという牧さん。
「液体のプロテインに頼ってしまうと、結局は筋肉を壊してしまい胃腸が動きにくくなり、その結果、食事(固形物)が吸収されなくなることも懸念されます。ですから、あくまでも食事の補助だと考えてください」
人体には不可欠なタンパク質だが、近年はその摂取量が低下しているとの調査結果もある。
「忙しさのあまり、朝食をパンとコーヒーで済ませる方もいるでしょう。しかし、それでは炭水化物が中心となり、タンパク質不足になってしまいます。まずは栄養バランスの取れた食事を心がけ、必要に応じてプロテインを摂取することが大事です」(吉田由紀子/5時から作家塾(R))